2012-01-01から1年間の記事一覧

55.学問のすすめ 現代語訳 第七〜九段落

第七段落 こうして考えてみると、怨望は貧賤によって生ずるものではない。ただ人類の自然な心の働きを塞がれることと、禍福の来去が全て偶然に与えられた地位で決定され固定されていることとによるのである。 昔、孔子が女子供と小人は近付けない方が良い、…

自民党政策検討

自民党政権公約 http://special.jimin.jp/political_promise/index.html?tg=revi 自民党憲法草案(自民党側の言い分及び自民党の憲法草案原文、原文はかなり下の方に対照表として掲載されている) http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf 自…

54.学問のすすめ 現代語訳 十三編 第四〜六段落

第四段落 今述べたことの他に、驕傲と勇敢、粗野と率直、頑固と着実、浮薄と鋭敏などのように、相い対しているように、どれもその働きの場所と、強弱の度合と、向かう方向によって、あるいは不徳となったり、あるいは徳となることもあるのである。 ただひと…

53.学問のすすめ 現代語訳 十三編 第一〜三段落

十三編 怨望は人間に害があるということ 第一段落 おおよそ、人間には不徳と言われる箇条は多いのだけど、その交際に害があるものは怨望より大きなものはない。貪吝奢侈誹謗と言ったものは、どれも不徳の著しいものであるのだけど、よくこれを吟味してみると…

52.学問のすすめ 現代語訳 十二編 第十二・十三段落

第十二段落 たとえばインドの国体は、古くないとはいえない、その文明が起こったのは、紀元前数千年前であって、理論が精密で玄妙であることは、恐らく今の西洋諸国の理学に比べても恥じる所がないものが多くある。 また、トルコの政府も昔から威勢と権力が…

51.学問のすすめ 現代語訳 十二編 第十・十一段落

第十段落 最近、日本の学校の評価に、この学校の風俗はこんなものだ、あの学校の取り締まりは云々といって、世の父兄は専ら学校の風俗取締のことに心配している。そもそも、風俗取締とは、どんなことを指して言っているのか。校則が厳しくて生徒の放蕩無頼を…

戒めの炎

講談社学術文庫の「仏教聖典」という本に、四不可軽経というのがあって、そこにこの「戒めの炎」が出てくる。 論語の「聖人の言を畏る」、ではないけれど、私はこの戒めの炎がいったいどんなものなのかと随分恐れている。 四不可軽経の概略をここに示すと 王…

50.学問のすすめ 現代語訳 第六〜九段落

人の品行は高尚でなければらないということ 第六段落 さきほど、最近のわが国で最も憂うるべきことは、人民の見識がいまだに高尚でないという一事であると述べた。人の見識品行は、微妙なことばかり話題にして、いたずらに高尚であってはならない。 禅には、…

49.学問のすすめ 現代語訳 十二編 第一〜五段落

十二編 演説を勧める説 第一段落 演説とは英語で「スピイチ(speech)」と言って、大勢の人の前で自説を語り、席上で自分の思っていることを人に伝える方法である。わが国にそういった方法が昔からあるとは聞いたことがなく、寺院での説法などがこの類に入るく…

お金と名誉が大好きな人に贈る歌(ひな祭りの替え歌)

ひつぎに詰めましょ さつたばを〜♪ 遺影に咲くのは かねのはな〜♪ 五人ばやしの ほくそ笑み〜♪ 今日は楽しい おそうしき〜♪ お墓に書きましょ かちとって〜♪ いっぱい並んだ かたがきを〜♪ 感謝されない その偉名(いみょう)〜♪ 今日は哀しい じごくのひ〜♪

48.学問のすすめ 現代語訳 十一編 第五〜七段落

第五段落 これまで述べたように、上下貴賤の名分を正して、ただその名のみを主張して専制の権力を行おうとすることによって、その毒が噴き出すところのものがあり、これこそ人間に流行する欺詐術策というものである。そうして、この病にかかってしまった者を…

47.学問のすすめ 現代語訳 十一編 第三・四段落

第三段落 アジア諸国では、国君のことを民の父母と言い、人民のことを臣子または赤子と言い、政府の仕事を牧民の職と言って、シナでは地方官のことを何州の牧と名付けたこともあった。この牧とは獣類を養う意味であるからには、一州の人民を牛羊のように取り…

福沢諭吉 『福翁百話』 『福翁百余話』 『瘠我慢の説』 現代語訳の紹介

いつも私の拙い文章を読んでいただき、誠にありがとうございます。間違いのご指摘や、その他ご意見を聞かせていただけると、さらにうれしいなぁと思っている今日この頃です。さて、現在、私は福沢諭吉の「学問のすすめ」を現代語訳しているのですが、これと…

46.学問のすすめ 現代語訳 十一編 第一・二段落

十一編 名分によって偽君子が生まれてくる方法 第一段落 第八編に、上下貴賤の名分から夫婦親子の間に生まれる弊害の例を示して、その害が及ぶところはこの他にもまだ多いことの次第を述べた。そもそもこの名分がどういった所から起きているのかと考えてみる…

古代ギリシアの同性愛について

どうしても、この同性愛にていてのことが、納得いかないというか、気になると言うか、のため、これに関する私なりの考察をここに記しておきたいと思う。 まず、私が読んだソクラテス関係の本からして、モノホンの同性愛者かバイセクシャルだったと思われる人…

45.学問のすすめ 現代語訳 十編 第三段落

第三段落 このようにして考えてみると、今の学者たる者は決して尋常学校の教育で満足してはならず、その志を高遠にして学術の真価に達し、不羈独立であって他人に頼ることもなく、あるいは同志の朋友がいないのならば、例え一人ででもこの日本国を維持すると…

43.学問のすすめ 現代語訳 十編 第一段落

全編の続き、中津の旧友に贈る 全編に学問の旨を二つにわけてこれを論じたが、その議論についての概要を言うと、人たるものはただ一身一家の衣食を満たして、それで自分で満足してしまってはならず、人の天性には、なおこれよりも高い約束があるからには、人…

44.学問のすすめ 現代語訳 十編 第二段落

第二段落 今の学者は何のために学問に従事しているのだろうか。不羈独立の大義を求めていると言い、自主自由の権利を回復すると言っているのではないか。既に自由独立と言うときには、その字の意味に、自ずから義務の考えが含まれていなければならない。 つ…

42.学問のすすめ 現代語訳 九編 第五〜七段落

第五段落 人類が生まれたばかりの時には人智はまだ開けていなかった。その有様を見てみると、あたかも生まれたばかりの子供に知識がないようなものだ。 たとえば麦を作ってこれを粉とするためには、天然の石と石とでこれを付き砕いていたのだろう。その後工…

推測・野田首相の気持ち

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36555 私の見解としても、このブログの意見とほぼ一致している。 ただひとつだけ、この言葉を付け加えたい。 「功言は徳を乱る、小を忍ばざればすなわち大謀を乱る」(論語 衛霊公第十五より) もちろん日本のためとは…

41.学問のすすめ 現代語訳 九編 第四段落

第四段落 第二 人の性というものは群居することを好んで決して独立孤立することはできない。 夫婦親子だけでは、この性情を満足させることはできない。必ず、広く他人に交わって、その交わりがいよいよ広ければ広いほど一身の幸福感も増されるのであって、す…

40.学問のすすめ 現代語訳 九編 第一〜三段落

九編 学問の旨を二様に記して中津の旧友に贈る文 人の身心の働きを細やかに見れば、これを分けて二つに区別することができる。第一は、人一人たる身についての働きである。第二は、人間交際の仲間に居てその交際の身についての働きである。 第一段落 第一 身…

39.学問のすすめ 現代語訳 八編 第七・八段落

第七段落 親に孝行することはそもそも人たる者の当然のことで、老人ならば他人でもこれに丁寧に接するはずである。ましてや、自分の父母に情を尽さないということがあろうか。利のためでもなく、名のためでもなく、ただ自分の親だと思って、天然の心で孝行を…

読みが外れた

どうも、テレビを見る限りだと、もう既にあさって解散の方向で間違いないようだ。 何を読み違えていたのかはわからないけど、一番の理由は党内が私の予想以上に結託していないということのように思う。衆議院での過半数があと三つという状況で、離党の話もち…

38.学問のすすめ 現代語訳 八編 第六段落

第六段落 今のは姦夫淫夫の話であるけれども、またここに妾の議論もある。世の中に生まれる男女の数はほぼ同じであるという道理である。西洋人の実験によると、男子の生まれる割合は女子の生まれる割合より多く、男子二十二人に対して女子二十人であるという…

37.学問のすすめ 現代語訳 八編 第五段落

第五段落 政府が強大で小民を制圧するという議論は、前篇までで触れてきたことなのでここではこれを略し、人間男女の間についてこの(儒学的思想の)ことについて言おう。 そもそも世の中に生まれたからには、男も人であり女も人である。この世の中に必要不…

36.学問のすすめ 現代語訳 八編 第三・四段落

第三段落 このような次第で、人たる者は他人の権利を妨げなければ、自由自在に自分の身体を用いることに正しい理があるわけである。好きなところに行き、そうしたいと思うところに止まり、あるいは働き、あるいは遊び、あるいは事を行い、あるいはかの業をし…

35.学問のすすめ 現代語訳 八編 第一・二段落

我心をもって他人の身を制すべからず 第一段落 アメリカのウェイランドという人の著した「モラルサイヤンス(moral science)」という本には、人の身心の自由を論じたところがある。その論の大まかな意味はこのようなものである。 人の一身は、他人とは離れて…

34.学問のすすめ 現代語訳 第十段落

第十段落 このように世を憂えて身を苦しめ命を落とす者を、西洋の言葉で「マルチルドム(martyrdom:殉教者)」と言う。この第三策で失うのはただ一人の身であるのだけど、その効能は、千万人を殺し千万両を費やすような内乱の戦よりも、はるかに優れている。 …

33.学問のすすめ 現代語訳 七編 第六〜九段落

第六段落 今まで述べたように、人民も政府も互いにおのおのその分限を尽しているときは申し分のないことだけど、時には政府がその分限を越えて暴政の行われるときがある。そういった場合に人民の分として為すべきことは、ただ三カ条があるのみである。すなわ…