福沢諭吉 学問のすすめ 現代語訳

学問のすすめを読んで下さる方は

グーグルアナリティクスの解析によると、ブログの学問のすすめを読んで下さる方は、海外に住んでいらっしゃる方がわりと多いみたいだ。 いろいろ理由は考えられる。 しかし、外国人が読んでいるということはないだろう。というのも、日本語はとても難しいし…

学問のすすめ 要約 四編

四編 今、学者がやるべきこと学者の職分を論ず第一段落 日本が、今後独立の地位を保てるのか?という問いに対して、現在は疑問符が付く状況である。だから、日本は進歩しているようではあるけれど、何の疑いもなく独立の地位を得ているわけではない。こうい…

学問のすすめ 要約 三篇

三編 国の独立と人民の独立国は同等なること第一段落 一人が一人に対して力の強さだけによって無理を加えるなら、それは、二人が二人に対して無理を加えるのと、権利を無理に侵害しているという点で何ら変わりがない。だから、人の権利が同等であることと同…

学問のすすめ 要約 二編

※ここから先の要約は、分かりやすい要約ではありません。この要約を読んだ「だけ」で学問のすすめを読んだつもりにならないように!あんまり役に立ちません!これは、興味が薄れた方に全文読もうというきっかけにして頂くためや、熱心に読んでいる方に予習や…

学問のすすめ 要約 初編

要約を利用する方へ こちらは、2014年7月下旬にkindleで発売した「学問のすすめ 読みやすい要約」のサンプルとなっております。初編だけこちらでご紹介しますので、気に入られた方は是非ご購入していただきたいと思います。文字量は原文の約半分となっており…

完結74.学問のすすめ 現代語訳 十七編 第十段落

第十段落 第三 従事している道が違うからと言って協力しないということではいけない。 論語には、道同じからざれば相ともに謀らずとある。世の人はこの教えを誤解して、学者は学者、医者は医者、少しでもその従事している職業が違っていると近付くこともなく…

73.学問のすすめ 現代語訳 十七編 第八・九段落

第八段落 第二 顔色容貌は快いものにして、一見して、ただちに人からいとわれることのないようにする。 肩を高くしてへつらい笑い、巧言令色、太鼓持ちが媚を売るかのようにすることは実にいとうべきことではあるけれど、苦虫を噛みつぶして熊のきもをすすっ…

72.学問のすすめ 現代語訳 十七編 第六・七段落

第六段落 孔子が言うには、「君子は人の己を知らざるを憂えず、人を知らざるを憂う」(君子は自分が有名でないことを憂えるのではなくて、人を知らないことを憂うる)ということである。 この言葉は当時流行していた弊害を矯正しようと思って言ったことでは…

71.学問のすすめ 現代語訳 十七編 第三〜五段落

第三段落 人望は智徳に属していることは当然の道理であって、必ずそうであるべきはずであるのだけど、天下古今の事実においては、その反対を見ることも少なくはない。 藪医者が玄関を広くして盛んに流行り、薬屋が看板を金にして大いに薬を売りさばき、山師…

70.学問のすすめ 現代語訳 十七編 第一・二段落

十七編 人望論 第一段落 十人の見るところ、百人の指さすところで、何某は確かな人物である、頼もしい人物である、この始末を託しても必ず間違いはないだろう、この仕事を任せても必ず成し遂げるであろうと、あらかじめその人柄を当てにされて、世の中一般か…

69.学問のすすめ 現代語訳 第十四・十五段落

第十四段落 前に出した箇条は人に働きがあって心事が不行き届きである場合の弊害であるけれど、今、これに反して心事だけは高尚遠大で事実の働きがないのもまた甚だ不都合なものである。心事が高大であるのに働きが乏しいものは常に不平を抱かないわけにはい…

68.学問のすすめ 現代語訳 十六編 第八〜十三段落

心事と働きが相応すべきという論 第八段落 議論と実際がふたつながらその宜しきを得なければならないといったことは、多くの人が言うことであるけれども、この言っていること自体が議論でしかないのであって、これを実地に行っている人は甚だ少ない。 そもそ…

67.学問のすすめ 現代語訳 十六編 第一〜七段落

十六編 第一段落 不羈独立という言葉は、最近世間でも話に聞くけれど、世の中の話には随分間違いもあるから、銘銘の人がよくその意味を弁えなければならない。 第二段落 独立には、二つの別の有様があり、一つは有形のもので、もう一つは無形のものである。…

66.学問のすすめ 現代語訳 第十五編 第五段落

第五段落 こういったことであるからには、今の改革者流が日本の旧い習慣をむやみに嫌って西洋の事物ばかり信じることは、全く軽信軽疑のそしりを免れることができないものである。いわゆる旧を信じる信で新を信じ、西洋の文明を慕うあまりに、そのひんしゅく…

65.学問のすすめ 現代語訳 第十五編 第四段落-後

今、少しだけ事を高尚にして、宗教のことについて述べてみよう。 四百年前に西洋に親鸞上人が生まれて、日本にマルチン・ルーザ(マルティン・ルター)が生まれていたとする。上人は西洋に行われていた仏法を変革して浄土真宗を広め、ルーザは日本のローマ宗…

64.学問のすすめ 現代語訳 十五編 第四段落-中

西洋人は毎日風呂に入るけど、日本人はわずかに月に一回か二回しか風呂に入らない、開化先生はこれを評価して言うだろう、文明開化の人民はよく風呂に入って皮膚の蒸発を促し、そういして衛生の法を守っているのだけど、不文の日本人はこの理を知っていない…

63.学問のすすめ 現代語訳 十五編 第四段落-前

第四段落 東西の人民、風俗は異なり情意を別にし、数千百年の長い間、おのおのその国土に行われた習慣については、たとえ利害の明らかなものであっても、すぐに彼を真似してはならない。ましてや、その利害がまだはっきりしていないものについて、すぐに真似…

62.学問のすすめ 現代語訳 十五編 第三段落

第三段落 そうであるけれども、物事を簡単に信じてはならないことが是であるならば、また、物事を簡単に疑ってもならない。この真疑を察するためには、取捨の明というものが必要である。そもそも、学問の要は、この明智を明らかにすることにあるのである。 …

61.学問のすすめ 現代語訳 十五編 第一・二段落

第十五編 物事を疑って取捨を判断すること 第一段落 信の世界には偽詐が多く、疑の世界には真理が多い。 試しに考えてみよ、世間の愚民は、人の言葉を信じて、人の本に書いてあることを信じて、小説を信じて、噂話を信じて、神仏を信じて、占いを信じて、父…

60.学問のすすめ 現代語訳 十四編 第九〜十八段落

世話の字の義(意味) 第九段落 世話の字にはふたつの意味があり、一つは保護の意味、もう一つは命令の意味である。 保護とは、人の事について傍らから見張りをして防いだり守ったりして、これに財物を与えたりこれのために時を費やしたりして、その人の利益…

59.学問のすすめ 現代語訳 十四編 第七・八段落

第七段落 他の人事も同じようなものである。人間が生まれてからの商売は、十歳前後に人心のできた時から始まっているものであるから、平生から智徳事業の帳合を精密にして、勉めて存亡を引き受けないように心がけなければならない。 この十年のうちに何を損…

58.学問のすすめ 現代語訳 十四編 第四〜六段落

第四段落 また、世間で事を企てている人の言っていることを聞いてみると、生涯のうちかまたは十年のうちにこれを成すと言う人が最も多くて、三年の内とか一年の内にと言う人はやや少なく、一月のうちとか今日このことを企てて今まさにこれを行うと言う者はほ…

57.学問のすすめ 現代語訳 十四編 第一〜三段落

第十四編 心事の棚卸 第一段落 人の世を渡る有様を見てみると、自分で心に思っているよりも案外に悪を為して、自分で心に思っているよりも案外に愚かな働きをし、自分の心の中で企てていることよりも案外に功を成さないものである。どんな悪人であっても、生…

56.学問のすすめ 現代語訳 十三編 第十〜十四段落

第十段落 今述べたような女中の一例を見ても、大抵の世間の有様は推測して知ることができる。人間の最大の禍(わざわい)は怨望に在り、怨望の源は窮(社会的な状況によって窮屈にさせられること)から生じたものであるからには、人が言論の自由を持たなけれ…

55.学問のすすめ 現代語訳 第七〜九段落

第七段落 こうして考えてみると、怨望は貧賤によって生ずるものではない。ただ人類の自然な心の働きを塞がれることと、禍福の来去が全て偶然に与えられた地位で決定され固定されていることとによるのである。 昔、孔子が女子供と小人は近付けない方が良い、…

54.学問のすすめ 現代語訳 十三編 第四〜六段落

第四段落 今述べたことの他に、驕傲と勇敢、粗野と率直、頑固と着実、浮薄と鋭敏などのように、相い対しているように、どれもその働きの場所と、強弱の度合と、向かう方向によって、あるいは不徳となったり、あるいは徳となることもあるのである。 ただひと…

53.学問のすすめ 現代語訳 十三編 第一〜三段落

十三編 怨望は人間に害があるということ 第一段落 おおよそ、人間には不徳と言われる箇条は多いのだけど、その交際に害があるものは怨望より大きなものはない。貪吝奢侈誹謗と言ったものは、どれも不徳の著しいものであるのだけど、よくこれを吟味してみると…

52.学問のすすめ 現代語訳 十二編 第十二・十三段落

第十二段落 たとえばインドの国体は、古くないとはいえない、その文明が起こったのは、紀元前数千年前であって、理論が精密で玄妙であることは、恐らく今の西洋諸国の理学に比べても恥じる所がないものが多くある。 また、トルコの政府も昔から威勢と権力が…

51.学問のすすめ 現代語訳 十二編 第十・十一段落

第十段落 最近、日本の学校の評価に、この学校の風俗はこんなものだ、あの学校の取り締まりは云々といって、世の父兄は専ら学校の風俗取締のことに心配している。そもそも、風俗取締とは、どんなことを指して言っているのか。校則が厳しくて生徒の放蕩無頼を…

50.学問のすすめ 現代語訳 第六〜九段落

人の品行は高尚でなければらないということ 第六段落 さきほど、最近のわが国で最も憂うるべきことは、人民の見識がいまだに高尚でないという一事であると述べた。人の見識品行は、微妙なことばかり話題にして、いたずらに高尚であってはならない。 禅には、…