荀子

180.荀子 現代語訳 成相第二十五 三章

三章 お願いだから、聖王の道にしっかりと向き合って、それを受け入れて欲しい。 堯と舜は、賢者を尊んで自ずから天子の位を譲り、許由と善巻は義を重んじて利を軽んじた。彼らは、堯や舜が位を譲ったのであるがそれを拒んでおり、その行いははっきりとした…

179.荀子 現代語訳 成相第二十五 二章

二章 お願いだから、物事にしっかりと向き合ってそれを受け入れ、治法という方向について弁えて欲しい。至治の極みとは後王に帰ることである。慎到・墨テキ・李子・恵施など、百家の説は誠に詳しいものとは言えないし良いものでもない。治とは後王に帰ること…

178.荀子 現代語訳 成相第二十五 一章

成相篇第二十五 ※成は、成功、成就という言葉があるように、何かが成し遂げられることである。また、相は、木と目が合わせられた漢字で、漢和辞典を調べてみると、(木目)でも(目木)でも同じ意味である。だから、目で木をはっきりと捉え、相い対すること…

177.荀子 現代語訳 君子第二十四 四章

四章 論議が、聖王の法に則れば貴いことを知ることができ、義によって事を制定すれば利のあるところを知ることができる。その道筋を議論するとき、貴いところがあることを知っていれば、養うべきところをも知ることができる。また、事に当たって、利とすべき…

176.荀子 現代語訳 君子第二十四 三章

三章 もとより、刑罰が罪に対して相応なものであるならばそこには威があるが、罪と刑罰がちぐはぐとなれば侮られることとなる。爵祿が賢さに対して相応なものであるなら貴ばれるのであるが、爵祿と賢さがちぐはぐであれば賤しまれることとなる。 昔は、刑罰…

175.荀子 現代語訳 君子第二十四 一・二章

一章 天子に、対等な立場である妻がおらず、后(后は後れるという意味がある)しかいないのは、人として匹敵する者が居ないことを示している。 四海のうちで、天子を客として迎える客礼がないのは、天子が唯一無二で最高の存在であるから、客として迎える者…

174.荀子 現代語訳 性悪第二十三 七〜十章

七章 堯が舜に、人の情とはどんなものか、と問うた。 舜が答えて言うには、人の情は甚だよろしくないものです。また、どうしてこんなわかりきったことをお尋ねになるのでしょうか。 人は、妻子を得ればそちらに気を取られて親への孝行をおろそかにし、物欲が…

173.荀子 現代語訳 性悪第二十三 六章

六章 道端の普通の人でも禹(伝説的な王)となれるとはどういったことか。 答えて、そもそも禹が禹である理由は、仁義法正を修めているからである。そうであるのならば、仁義法正には、それをしっかりやるための道理がある。そしてまた、道端の普通の人全て…

172.荀子 現代語訳 性悪第二十三 五章

五章 質問者は尋ねた。礼義積偽というものは人の性以外の何物でもなく、そのために、聖人はこれをうまく生じることができたのだ、と。 これに答えて、それはそうではない。かの陶工は、土をこねて瓦を生み出す。そうであるならば、土を瓦とすることが陶工の…

171.荀子 現代語訳 性悪第二十三 四章

四章 孟子は人の性が善であると言う。これに答えて言うと、これは間違っている。そもそも、古今天下において、いわゆる善とは正理平治のことである。そして、いわゆる悪とは偏険悖乱である。これが善と悪の区別である。 今、本当に、人の性がそもそも正理平…

170.荀子 現代語訳 性悪第二十三 三章

三章 そもそも、人が善をなそうとするのは、その性が悪であるからだ。薄いものは厚くなりたいと願い、狭いものは広くなりたいと願い、貧しいものは富みたいと願い、賤しいものは貴くなりたいと願い、かりそめにも中(偏っていないこと)にないことを自覚して…

169.荀子 現代語訳 性悪第二十三 二章

二章 質問者は尋ねた。人の性が悪であるならば、礼義はどのようにして生まれたのでしょうか。 これに答えて、そもそも礼儀というものは、聖人の偽(作為)から生まれたのであり、本人の性から生まれたわけではないのだ。 なぜなら、陶工は泥をこねて瓦を作る…

177.荀子 現代語訳 成相第二十五 一章

成相篇第二十五 ※成は、成功、成就という言葉があるように、何かが成し遂げられることである。また、相は、木と目が合わせられた漢字で、漢和辞典を調べてみると、(木目)でも(目木)でも同じ意味である。だから、目で木をはっきりと捉え、相い対すること…

168.荀子 現代語訳 性悪第二十三 一章-後

孟子は、人が学ぶのは、その性が善であるからだと言うけれども、これはそうではない。この考え方は、人の性を知ることができずに、人の性と偽との分別について詳察していないものだと言える。 そもそも、性というものは、天から帰せられたものであり、学ぶこ…

167.荀子 現代語訳 性悪第二十三 一章-前

性悪第二十三 一章 人の性(生まれ持っての性質)は悪なのであって善というものは人の為すものである。(●人の性は悪にしてその善なる者は偽なり。) 今、人の性は生まれながらにして利を好むところがある。そして人はこの性に従う。だから、争奪が生じて辞…

166.荀子 現代語訳 正名第二十二 七章-後

また、試しに、さらに深いところに隠れて察することが困難なものについても観てみよう。 心の中で理を軽んじる者は、必ず外の物を重んじている者であり、外の物を重んじているのなら、心は憂え患うことになる。行いが理から離れれば、必ず外の状態は自分にと…

165.荀子 現代語訳 正名第二十二 七章-前

七章 そもそも人は、必ず、そうしたいと思う可能な所に従って、そうしたいと思わない不可能な所からは去るものである。道が最高のものであると知りながら、それでも道に従わない者などは居るはずがない。 これを例えると、人がいて、南に向かおうと欲して南…

荀子 現代語訳 正名第二十二 七章-前

七章 そもそも人は、必ず、そうしたいと思う可能な所に従って、そうしたいと思わない不可能な所からは去るものである。道が最高のものであると知りながら、それでも道に従わない者などは居るはずがない。 これを例えると、人がいて、南に向かおうと欲して南…

164.荀子 現代語訳 正名篇第二十二 六章

六章 ※重要にして難解な部分なので、便宜上(1)という節番号を付ける(1) そもそも、治について語りながら、欲が去ることを待っている者は、欲を道びくことをしないで、ただただ欲があることに困っている者である。(凡そ治を語りて欲を去ることに待つ者は…

163.荀子 現代語訳 正名篇第二十二 四・五章

四章 辞譲の節(辞退することと譲ることのけじめ)が得られ、長少の理(年齢の差で生まれる理)は善に従うものとなり、はばかり畏れられるべきことが称されることなく、妖辞(あやしげな言葉)が出されることもなく、仁心によって説き、学心によって聴き、公…

162.荀子 現代語訳 正名第二十二 三章

三章 侮られても辱めを受けたというわけでないとか、聖人は己を愛していないとか、盗人を殺すことは人を殺すことでないといったような理論は、これは名を用いることに迷って名を乱すものである。こういいったもののためには、名のある理由に照らし合わせて、…

161.荀子 現代語訳 正名第二十二 二章-後

そうであるならば、何によって名を異同するのか。 答えて、名は天官(天から与えられた自然に備わっている感覚器官)によって異同する。そもそも、種類も同じで感情も同じものは、天官が物を意に介してはかることも同じとなり、だから、疑わしく似ているもの…

160.荀子 現代語訳 正名篇第二十二 二章-前

二章 王者が名を制定すれば、名が定まり実際に弁論が行われ、道が行われて志が通じ、そのようにして慎重に民衆を率いて一つにする。 こうすることができれば、言葉を分析して自分勝手に正名を乱し、民衆を疑惑させて人に弁論と言い争いを多くさせることが、…

荀子解題 現代語訳

青空文庫に荀子解題というものがある。 恐らく、戦前の学者が書いたものではないかと思うが、wikiやその他の記述とも食い違いが見られ、現在の研究ではだいぶ変わっているかもしれない。荀子に興味のある方の参考になればと思う。 http://www.aozora.gr.jp/c…

荀子 抄 儒効第八

荀子 抄 儒効第八 儒効第八 52.一章 ●是れ変勢次序の節の然らしめしなり 53.二章 ●勢の人の上に在れば則ち王公たるの人材なり、人の下に在れば則ち社稷の臣・国君の宝なり ●窮巷漏屋に隠ると雖も、人のこれを貴ばざる莫きは、道の誠にここに存すればなり ●其…

荀子 抄 仲尼第七

荀子 抄 仲尼第七 47.一章-前 ●仲尼の門にては五尺の豎子も言うに五覇を称することを羞じたり 48.-後 ●彼の王者は即ち然らず。賢を致して能く以て不肖を救い、強を致して以て弱きに寛(ゆる)くし、戦えば必ず殆うくせんも而もこれと闘うことを羞じ、委然と…

「知」と「賢」の違いについて

荀子を読んでいると、「知」と「賢」とが別概念として扱われていることがよく分かる。(これに付け加えて、荀子が人を評価する基準は、「知」でなくて、「賢」と「能」である。そして、賢者には位を授けて、能者には役職を割り当てるとなっている。) 知者と…

荀子 抄 非十二子第六

荀子 抄 非十二子第六 41.一章-前 ●仮今の世に、邪説を飾り姦言を文りて以て天下を擾乱し、キツ宇嵬瑣、天下をして混然として是非治乱の存する所を知らざらしむる者に人有り 42.-後 ●然れども、其のこれを持するには故を有ち、其のこれを言いては条理を成し…

荀子 抄 非相第五

荀子 抄 非相第五 33.一章-前 ●人を相うこと、古えの人は有りとすること無く学者は道わざるなり ●形を占うは心を論ずるに如かず、心を論ずるは術を択ぶには如かず。形は心に勝たず心は術に勝たず 34.-後 ●従者将に志意を論じ文学に比類せんとするか、直だ将…

荀子 抄 栄辱第四

荀子 抄 栄辱第四 24.一・二章 ●驕泰は人の殃なり。恭倹は五兵をもしりぞく。戈矛の利有りと雖も恭倹の利に如かざるなり ●人に善言を与うれば布帛よりも煖く、人を傷つくるに言を以てすれば矛戟よりも深し ●清からんと欲して愈々濁るは口なり 25.三章 ●あら…