荀子 抄 儒効第八

荀子 抄 儒効第八

儒効第八 

52.一章
●是れ変勢次序の節の然らしめしなり

53.二章
●勢の人の上に在れば則ち王公たるの人材なり、人の下に在れば則ち社稷の臣・国君の宝なり
●窮巷漏屋に隠ると雖も、人のこれを貴ばざる莫きは、道の誠にここに存すればなり
●其の人の上たるや広大なり。志意は内に定まり礼節は朝に修まり、法則度量は官に正しく忠信愛利は下に形わる
●一つにても不義を行い、一人にても無罪を殺して天下を得ることはこれを為さず

54.三章
●何をか中と謂う。曰く礼義こそこれなれ
●道とは天の道に非ず地の道に非ず、人の道う所以にして君子の道う所なり
●言は必ず理治に当り事は必ず務めに当る。是くして然る後に君子の長ずる所なり

55.四章
●凡そ事行は、理に益ある者はこれを立て、理に益なき者はこれを廃す、夫れ是れを中事と謂う
●凡そ知説は、理に益ある者はこれを為し理に益なき者はこれを舎つ、夫れ是れを中説と謂う
●これを知らずとも君子たるに害なく、これを知るとも小人たるに損ずるなし

56.五章
●我れは賤よりして貴く、愚よりして知に、貧よりして富まんことを欲す。可ならんか。曰く、其れ唯学か
●彼の学なる者は、これを行えば曰ち士なり、焉れを敦慕むれば君子なり、これを知れば聖人なり
●彼の宝天下を治めるの大器なる者は、これを衣んとするも衣るべからず、これを食わんとするも食うべからず、これを売らんとするも疾かにはうるべからず

57.六・七章
●君子の爵なけれども貴く、禄なけれども富み、言わざるも信あり、怒らざるも威あり、窮処するとも栄え、独居するとも楽しめるは、豈れ至尊至富至重至厳の情、挙な此に積むが為めならずや
●貴名は、比周を以ては争い取るべからず、誇誕を以ては有すべからず、勢重を以ては脅かし取るべからず、必将ず此れを誠にして然る後に成就す
●君子は務めて其の内を修めてこれを外に譲り、務めて徳を身に積みてこれに処するに遵遁を以てするなり
●分の上に乱れず、能の下に窮まらざるは、治弁の極みなり

58.八章
●尽く善にしてあまねく治まるを神と謂い、万物もこれを傾くるに足ること莫きを固と謂う。神にして固なるを聖人と謂うなり
●天下の道も是に畢き、是れに郷う者は臧く、是れに倍く者は亡ぶ。是れに郷いながら臧からず、是に倍きながら亡びざる者は、古えより今に及ぶまで未だ嘗て有らざるなり

59.九章
孔子は「周公は其れ盛んなるかな、身は貴くして愈愈恭しく、家は富みて愈愈倹に、敵に勝ちて愈愈戒しむ」と曰えりと。これに応じて曰く、是れ殆ど周公の行いに非ず、孔子の言に非ざるなり

60.十章
●大儒なる者は善く天下を調一する者なるも、百里の地無くば則ち其の功を見わす所なし
百里の地を用うるに、而も以て天下を調一し強暴を制すること能わずば、則ち大儒には非ざるなり
●俗人なる者あり、俗儒なる者あり、雅儒なる者あり、大儒なる者あり
●人主、俗人を用うれば則ち万乗の国も亡び、俗儒を用うれば則ち万乗の国にして存し、雅儒を用うれば千乗の国にして安く、大儒を用うれば則ち百里の地とても久しく而る後三年にして天下は一と為り諸侯は臣と為る。万乗の国に用いれば則ち挙錯にして天下定まり一朝にして伯れん

61.十一章
●聞かざることは聞くことに若かず。聞くことは見ることに若かず。見ることは知ることに若かず。知ることは行うことに若かず、学は行うに至りて止む。
●これを行えば明なり。明なるを聖人と為す
●聞かず見ざれば則ち当ると雖も仁に非ず、その道百挙にして百陥す
●師法ある者は人の大宝なり。師法なき者は人の大殃なり
●性は以て独立して治むるに足らず。性なるものは吾れの為すこと能わざる所、然れども化すべきものなり。積なるものは、吾れの有する所に非ず、然れども為すべきものなり
●人は注錯を謹み習俗を慎むを知りて積微を大とすれば則ち君子たり。情性をほしいままにして問学に足らざれば則ち小人たり。君子たらばすなわち常に安栄にして小人たらば則ち常に危辱なり

62.十二・三章
●大儒なる者は天子の三公なり。小儒なる者は諸侯の大夫と士なり。衆人なる者は工農商賈なり。而して礼なる者は人主の群臣の寸尺尋丈の検式法度と為す所以なり。人の倫、尽くせり
●君子は、言に壇宇(界域)あり、行に防表(標準)あり、道に一隆あり。
●政治の求めを言えば安存より下らず、志意の求めを言えば士より下らず、道徳の求めを言えば後王に二わず


まとめ
http://d.hatena.ne.jp/keigossa/20130104/1357283885