福沢諭吉 学問のすすめ 現代語訳

19.学問のすすめ 現代語訳 四篇 第六段落

第六段落 このように考えてみると、これから我が国の文明を進めるためには、まず人心にすっかり染みついているかの気風を一掃しなければならい。これを一掃することは、政府の命令では難しいし、個人的な論説を用いても難しい、必ず人に先だち個人的に何かの…

18.学問のすすめ 現代語訳 四編 第五段落

第五段落 このように言う人もあるかもしれない。政府はしばらくの間だけ一時の術策を用いて、人民の智徳が進むのを待ってから、人民自身によって文明の域に入るらせるようにすればいいのだと。この説は言うことはできるけれども行うことはできない。 われら…

17.学問のすすめ 現代語訳 四編 第二・三・四段落

第二段落 何かを維持するためには力の平均というものが必要である。たとえば、人の体のようなものだ。体を健康に保とうと思うと、食べたり飲んだりしないとならないし、空気と太陽の光が必要であるし、暑い寒い痛いかゆいというような外からの刺激があって、…

16.学問のすすめ 現代語訳 四編 第一段落

四編 第一段落学者の職分を論ず 最近、識者の意見を聞いていると、 今後日本の盛衰は、簡単には察することはできないとはいえ、今の独立の地位を失うような憂き目にあうことは到底ないであろうし、このごろ目撃しているところの勢いによって進歩すれば、必ず…

15.福沢諭吉 学問のすすめ 現代語訳 三篇 第五・六・七段落

第五段落 第二条 内に居て独立の地位を得ることができないものは、外に在って外国人と接するときもまた、独立の権義を発揮することはできない。 独立の気力がない人は必ず人に頼る、人に頼る人は必ず人を恐れる、そして人を恐れる人は必ず人に諂(へつら)う…

14.学問のすすめ 現代語訳 三篇 第三・四段落

第三段落 このような次第であるから、外国から我が国を守ろうとするならば、自由独立の気風を全国に充満させて、国中の人々に貴賤上下の区別もなくし、その国は自分の国であると各自が自分の身に引き受けて、智者も愚者も目が見開いている人もそうでない人も…

13.学問のすすめ 三編 第二段落

第二段落 一身独立して一国独立すること 前に述べたように、国と国とは同等であるのだけど、国中の人民に独立の気力がないときは一国の権義を思う存分発揮することはできない。その次第は次の三カ条である。 第一条 独立の気力なき者は、国を思うこと深切な…

12.学問のすすめ 現代語訳 三編 第一段落

三篇 第一段落 国は同等なること おおよそ、人という名さえあれば、富んでいても貧しくても、強くても弱くても、人民でも政府でも、その権利(権義)において異なることがないということは、第二編に記したところである。(二編にある権理通義の四文字を略し…

11.学問のすすめ 現代語訳 二編 第五・六段落

二編 第五段落 このような悪い風習ができた理由を考えてみると、その根本は、人間は同等であるという大事な基本を誤って、貧富強弱と言った有様を悪い道具に使い、政府や富強という勢いでもって貧弱な人民の権利通義というものを妨げているということになる…

10.学問のすすめ 現代語訳 二編 第三・第四段落

二編 第三段落 今まで述べた議論を世の中のことに当てはめてみる。すると、旧幕府の時代には、士(侍)とその他の民との身分の差が甚だしくて、士族はみだりに権威を振って、百姓や町人への扱いはまるで罪人を扱うかのようであり、「切り捨て御免」という法…

9.学問のすすめ 現代語訳 二編 第二段落

二編 第二段落 こういったように人は同じく天から造られたものであるのだから、人と人とを比べてみればこれは全て同等であると言える。ただし、その同等とは有様が同じであることを言うのではない、権利通義が同じであると言っているのだ。 その有様を論ずる…

8.福沢諭吉 学問のすすめ 現代語訳 二編 第一段落

二編 第一段落 人は同等なる事 初編のはじめに、人は万人が同じ身分で生まれたからには上下の差別といったものはなく自由自在云々とある。今、この意味を押し広めて述べようと思う。 人が生まれることは天によってだけ決まることで、人の力ではどうすること…

7.福沢諭吉 学問のすすめ 現代語訳 二編 端書

二編 端書 学問という言葉は広くて、無形の学問もあれば、有形の学問もある。心学、神学、理学などは形の無い学問である。天文、地理、究理、化学などは形のある学問である。 また、学問と言われるものは全て、知識や見聞の領域を広め物事の道理をわきまえ、…

6.学問のすすめ 現代語訳 初編 第四段落-後半・端書

初編 第四段落-後半 こういったように、政府の良し悪しは人民の智か不智かにかかっているのだから、現在のわれらが日本でも、この人民あってのこの政治なのである。 だから、もしも、人民の徳義が今日よりも衰えてなお無学文盲に沈んでしまったのならば、政…

5.学問のすすめ 現代語訳 初編 第四段落-前半

初編 第四段落-前半 今までも述べた通り、人の一身も一国も、天の道理に基づいて不羈自由(不羈:しばりつけられないこと)であるからには、もしも、この一国の自由を妨げようとするものがあるならば世界万国を敵としても恐れるに足らず、この一身の自由を妨…

4.学問のすすめ 初編 第三段落-後半

初編 第三段落-後半 この明治維新で国が一新して王政となって以来、われらが日本の政治は大きく改まり、外は万国の公法に従って外国と交わり、内では人民に自由独立の趣旨を示し、既に平民でも名字を名乗って馬に乗ることも許されたというようなことは、日本…

3.学問のすすめ 現代語訳 初編 第三段落-前半

初編 第三段落-前半 学問をするためには、分限というものを知ることが重要である。そもそも人は生まれつきに繋がれたり縛られたりするようなことはなく、一人前の男は男、一人前の女は女であって、自由自在の者である。しかし、自分は自由自在であると唱えて…

2.学問のすすめ 現代語訳 初編 第二段落

初編 第二段落 学問というものは、ただ難しい字を知って、理解するのが難しい古文を読み、和歌を楽しんで、詩を作るなどといったような実のない文学をいうものではない。これらの文学は、人の心を楽しませて随分よろしいものではあるのだけど、昔から世間で…

1.学問のすすめ 現代語訳 初編 第一段落

学問のすすめ 初編 第一段落 「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と言われる。そうであるならば、天から人が生ずる以上、万人が万人みんな同じ身分のはずで、生まれながらにして貴い賤しい(身分が高い低い)といった差別はないはずである。また…

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学問のすすめ 現代語訳 はじめに

今日から、学問のすすめを現代語訳しながら、それを通して、現代社会やそれに至る歴史を研究することにした。なんとか毎日続けたい。 現在の情勢から言えば、維新の、「維新」の会の人が、その言葉「維新」を不遜にも使っていることの愚かしさがわかるような…