三誓偈(重誓偈)

 私がいつもあげているお経にこれがある。幼少のころは、祖父や祖母の傍らで聞いていたし、お経をあげることにしてからは、毎日読んでいるのだけど、最近、ようやく意味がわかるようになってきた気がした。こうして、意味がわかってくると、自分の人格の形成に少なからず影響しているなと思う。

 こういったものは、不思議なもので、意味がわかるまでに、時間がかかる。というか、毎日あげているお経なのに、今まで意味を敢えて詳しく調べてないことも不自然と言えば不自然だった。だが、こういうものは、ある程度自分が成長しないと、意味が分かってこないし、調べても理解できないものだと思う。聖書のたとえの意味が、何度意味を教えてもらっても分からないように。また、種まく人のたとえの意味は、12使徒でさえ、キリストから教えてもらうまで分からなかったように。


我建超世願 必至無上道 斯願不満足 誓不成正覚
我於無量劫 不為大施主 普済諸貧苦 誓不成正覚
我至成仏道 名声超十方 究竟靡所聞 誓不成正覚

私は、超世の願いを建てましょう。必ず無上に至る道。この願いが満足しないなら、誓って正しい悟りは成りません。
私が、無量の時において、大施主となり普く貧苦を救わないのなら、誓って正しい悟りは成りません。
私の、成仏道が至り、その名声が至るところまで聞こえないならば、誓って正しい悟りは成りません。

離欲深正念 浄慧修梵行 志求無上道 為諸天人師
神力演大光 普照無際土 消除三垢冥 広済衆厄難
開彼智慧眼 滅此昏盲闇 閉塞諸悪道 通達善趣門

欲を離れて正念に深く、きよらかな思いで梵行を修め、無常の道を志し求め、天と人の師となりましょう。
不思議な力で大光をなし、普く全ての世界を照らし、三垢のくらさを消し除いて、広く生きとし生けるものを救いましょう。
彼の智慧の眼を開き、このくらやみを滅して、もろもろの悪の道を閉塞し、善門を通り善に達しましょう。

功祚成満足 威曜朗十方 日月戢重暉 天光穏不現
為衆開法蔵 広施功徳宝 常於大衆中 説法獅子吼
供養一切仏 具足衆徳本 願慧悉成満 得為三界雄

仏と成り満足し、威容はあまねくほがらかに、日月の光も、天界の光も、見劣りするものといたしましょう。
生きとし生けるものの本性を開き、広く功徳の宝を施して、常に多くの中で、獅子が吼えるように説法をしましょう。
すべての仏を供養して、もろもろの徳の本とともに、この願いと思いでことごとく満たし、全ての世界で通じるものとなりましょう。

如仏無礙智 通達靡不照 願我功慧力 等此最勝尊
斯願若尅果 大千応感動 虚空諸天人 当雨珍妙華

仏が全てを知るがごとく、照らさないところがないようにし、私の得た思いの力が、この最勝尊と等しくなることを願いましょう。
この願いがかなうならば、まさに全ての世界は感動し、虚空のもろもろの天と人は、まさに尊い不思議な華を雨ふらすでしょう。