国家論について(学説まとめ)

今、「憲法の常識 常識の憲法百地章著(文芸春秋)というのを読んでいるのだが、その冒頭にある、国家と憲法の関係についての部分が興味深いので、特に其の中でも、国家論に関する学説を抜粋して、まとめておくことにした。

あと、個人的な独断によって、日本の右派(愛国心)的な考えであるか、日本の左派(国家蔑視)的な考えであるのか、という記号を残す。日本のと限定するのは、そもそも、右派左派とは、フランス革命のときに、体制維持派が右側に、改革派が左側に議席を占めていたことから発展した言葉で、この言葉の出所からしても、今の右派的な人が使う左翼という言葉にしろ、(ネット)右翼と呼ばれる人々にせよ、もう、その右左という言葉の意味は、日本特有のものとなっていると思うからである。

国家は何かという問いに対して

1.国家三要素説、社会的国家論
領土を基礎として、主権である統治権を有し、国民の共同体とすること

2.国家法人説、法学的国家論
国家を会社のような法人であるとするもの

3.国家を権力機構とするもの(左派)
本来国家の一部であるべき政府を国家そのものとするような考え方で、権力機構としての国家を示す英語Stateによって端的に示される

4.社会契約説のいう国家、個人主義的国家観(左派)
ロックやホッブスに代表される思想で、国家は、観念的モデルの個人が、自然状態では得られない秩序と平和を実現するために、社会契約によって作られたものとして、個人の造り上げる社会が国家であると合理的に説明するような国家観。そのために、国家がこの契約・合理的目的に反することに警戒的となる。

5.国家有機体説(右派・大日本帝国憲法
ヘーゲルエドマンド・バークに代表される思想で、国家とは、歴史・文化・伝統を背景に持った具体的な国民の共同体であり、有機的共同体とする。