学問のすすめ 要約 二編

※ここから先の要約は、分かりやすい要約ではありません。

この要約を読んだ「だけ」で学問のすすめを読んだつもりにならないように!あんまり役に立ちません!これは、興味が薄れた方に全文読もうというきっかけにして頂くためや、熱心に読んでいる方に予習や復習として使って頂くためのものです。

二編 人は同等なること

端書
 学問をするためには、文字を知る必要があるけれど、文字を知っているだけでは学問をしたということにはならない。本を読んだだけで学問をしたと思っている人のことを「論語読みの論語知らず」と言う。学問において重要なことは、文字を使って物事の道理を知って、それを実際に役立てることにある。

 前回出版したものを初編として、なおその内容を押し広めて今回の二編を記す。

第一段落
 例えば同じ家に生まれた者同士は家族として仲良く暮らす。そのように、人類は、天のはたらきによってこの同じ天の下に生まれた者同士であって、家族も同然であるのだから、お互いに敬愛しお互いの職分(つとめ)の邪魔をしないようにしなければならない。

第二段落
 だが、人が同じく天からもらったものは、あくまでも権利のみである。たまたまその人が置かれている状況は有様と言う。有様は違っていて当然であるけれども、この有様の強さを利用して権利を侵害するのなら、それは権利の意味をわかってない。有様の強さで無理強いをすることを例えるのなら、それは、力の強い人が隣の人の腕を折ってしまうことと何ら違うことはない。

第三段落
 旧幕府時代には、「切り捨て御免」や、武士以外の名字の禁止、平民は自分の家で飼っている馬にも乗れないなどの、あまりにもけしからんことがあった。

第四段落
 しかし、政府と人民との違いは、本来は強弱の有様だけなのであって、権利通義までが違うとうわけではないのである。そうであるのに、政府は人民に恩があるとして、多くの理不尽を働いていたのである。それにそもそも、政府には米も金もなくて、これは人民が納めていたものである。

 そうであるならば、政府が法を施行して善人を保護し国を保ってこれを平民への恩とするのなら、平民は米や金を納めることを政府への恩とすることができるはずである。だから、この二者の関係は、お互いに約束をしてお互いの義務を果たしているだけであり、どちらもお互いに礼をしなければならない関係にあるのである。

第五段落
 そうであるのに、強弱の有様によって先に述べたような悪風俗があったのは、人間世界に最も大切である「同位同等」(平等な基本的人権をお互いに有していること)の旨が無視しされていたからである。

第六段落
 このように議論を進めると、いかにも政府が悪くて人民は悪くないと言うようでもあるが、それは違う。政府としても、無学文盲、理非の理の字も知らないくせに、欲だけは深くて巧みに人を欺いては法をかいくぐるような輩を取り締まるのには、暴政府となるより仕方がないのである。そうであるならば、我ら人民は、暴政府の禍(わざわい)を受けないためにも、学問をすることで、政府と同位同等の位置に登らなければならない。これがわれわれの勧める学問である。


まとめ
http://d.hatena.ne.jp/keigossa/20121007/1349584536