1.荀子 現代語訳 勧学第一 一章

勧学第一

一章

 君子は言う。学ぶことをやめてはならないと。(●君子曰く、学は已むべからず)

 青は藍からできる色だけどその青いことは藍よりも青く、氷は水が変化してできるけどその冷たいことは水より冷たい。木は、定規をあてたかのようにまっすぐであっても、これをたわめて輪とするならコンパスで書いた円にも劣らないほど円くなる。この木が乾いてもまっすぐに伸びないのは、たわめたことでそうなるのである。

 だから、木は墨縄(すみなわ:大工とかが使う道具)にあてられればまっすぐになり、鉄は砥石で研げば鋭くなり、君子は博く学んで毎日顧慮反省するならば智は明らかとなり行いにも過ちが無くなる。(●君子は博く学びて日に己を参省すれば則ち智は明らかにして行にも過ち無し)

 だから、高い山に登ってみなければ天の高いことはわからないし、深い谷を見なければ地が厚いこともわからないし、先哲の遺言を聞かなければ学問の大なることもわからない。

 文明未開の地で生まれた子供も、生まれたときは声からなにから同じなのであり、成長したあと生活習慣が異なるのは、教育によってその差異が生まれてくるのである。

 詩経(小雅・小明篇)には「ああ、なんじ君子よ、いつも安息していないで、自分の位をつつしんで、その正直を好んで、これを神に聴いて、そうしてなんじの慶福を大いなるものとせよ」とある。

 精神が道と同化することより最大であることはなく、福は禍のないことよりも最長であることはない。(●神は道と化するより大なるはなく、福は禍の無きより長なるはなし)


まとめ
http://d.hatena.ne.jp/keigossa/20130104/1357283885


解説及び感想

■変化をすれば有用となること、変化をするためには変化させる必要があること、変化させるためには変化する目標を知らなければならないことを例えで示し、その後に、これが人間にもあてはまることであることを明らかにし、これを人間にあてはめた場合の効用を述べている。この「変化」の触媒となるものが、人間では常に「学ぶこと」なのである。