わかりやすい論語10 温故知新の本当の意味

はじめに
 温故知新はとても有名な言葉です。ですが、みなさんはこの言葉の本当の意味を知っているでしょうか。古いことを発見しても、新しいことを知ったことなどない、と思う方は大勢いらっしゃると思います。今回は、原典である論語をよりどころとして、この言葉について詳しく紹介し、どうすれば古いことから新しいことを知れるのかということに迫ります。


故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知れば、以て師となるべし。

(為政第二より)


現代語訳
自分が以前に習ったことや昔のことをしっかりと習熟して、新しいことを知ることができるならば、師(先生)となることができる。


解説
 はじめに、でも触れたように、「温故知新」という言葉を知っているだけでは、古い事柄から新しい事柄を知ることはできません。ですが、この「温故知新」の後の「以て師となるべし」という言葉に注目すれば、それもできるようになるのではないでしょうか。あなたが何かを教えようと思うとき、あなたはそのことにかなり慣れて、習熟しているはずです。実は、教えるということは大変難しいことなのです。例えば、簡単な掛け算、7×5=35ということを教えることを想像してみてください。「7×5=35になるのだ」と言って分かる人ならいいのですが、もし、「×(かける)ってどういう意味?」とか、「数字って何?」などと質問された場合、あなたは、その質問に適切に答えることができるでしょうか。そう言われてみれば、ちょっと自信が無くなるのではないでしょうか。

 このように、誰かに何かを教えるためには、その何かに付随するいろいろなことに習熟していないとならないのです。そうしないと、誰かに何かを教えることはできません。つまり、「温故知新」の本当の意味とは、「故きをたずねて新しきを知る」ではなくて、「故きを(大切に)温めて新しきを知る」なのです。誰かに何かを教えることができるくらいにしっかりとそのことを研究し、習熟したのならば、新しいことを知ることもできるでしょう。

 論語を学ぶこともそのひとつと思います。論語も2500年以上前からある由緒正しき「故き」ものですからね。

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漢籍の読み方1 書き下し文とは何か 平田圭吾のページ

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大学 現代語訳

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わかりやすい論語まとめ
http://d.hatena.ne.jp/keigossa/20120207/1328611563

おまけ 英訳
You can become the teacher if you can know new thing form merely old things.