論語と算盤を読んで2

渋沢栄一論語と算盤をほぼ読み終わった。

いろいろ思ったが、

1.渋沢栄一は間違いなく王道を貫き通したと言うこと。

2.日本の商人や銀行は信用できるという評判があるらしいが、それは間違いなく渋沢の功績が大きいであろうということ。日本人はこのことに感謝しなければならない。

3.口は禍福の門というところに、口を開くことによって、これ以上ない幸福に関わることができるきっかけとなるのだから、口は開いた方がよい。ということが書かれていたのだけど、どんな利益のことだろうと先を読み進めると、その幸福とは「人が幸福になることのお手伝い」だそうだ。これを読んだ時はついつい本を抱きしめてしまった。

4.福沢諭吉を意識している部分があるようであるが、これは、福沢と渋沢に直接の親交があったわけでないらしい。学問のすすめに書かれている理想像がまさに渋沢としか思えないのだけど、これは渋沢が福沢に影響されてとった行動でなくて、渋沢が自分で考えてとった行動が、福沢の考えと同じだった。と言った方が正確なようだ。同じ時代に、同じ選択を理想とする人が、別の場所に存在することは、むしろ必然で自然なことと思う。事実、渋沢が官(役所の仕事)を辞したのは、学問のすすめが出版される前である。論語と算盤の中には、明らかに学問のすすめから引用したと思われることが書かれている。だが、これは、福沢が渋沢を新聞でほめるなどしたことから、お互いを知ろうと渋沢が福沢の著書を手に取った結果のように思われる。

5.時代柄だろうか、徳川家康の遺訓集と論語を比較する文が多かったように思う。

商売に携わっている人にはもちろんのこと多くの人に読んでもらいたい一冊だ。