種の起源 要約について

 種の起源の要約をしようかと思った。また少しずつやってみよう。

 とりあえず、二章までは読んだのだけど、ダーウィン種の起源は、何も新しいことを発見したような書物ではないと思った。むしろ、それまでの生物学に関する研究が完全に集められたようなものなのだ。大体の見当だけど、その実証データは少なくとも一万件以上、それに何らかの形で関わったりしている研究者も100人以上と思われる。

 つまり、ダーウィンは、発想力や創造力、想像力に富んだ奇異な人ではなくて、むしろ、着実に堅実にデータを集める努力家で、データ整理や、情報の扱い方に長けた人であったのだ。ただ、生物学に関する並々ならぬ熱意と興味はあったと思う。この熱意と興味のために、まわりからは、変わった人と思われていたかもしれない。

 このような種の起源の特質から、その例証を省いて理論だけ抽出すれば、かなりコンパクトなのに、生物学に関するエッセンスは逃さない要約ができると思ったのだ。だが、この種の起源においてもっとも重要なことは、今まで述べたように、その膨大なデータである。だから、この膨大なデータを、ダーウィンが、どのようにまとめているのか、また、どういった理由で情報の真偽を判断しているのか、どのように情報同志を結び付けいるのか、どのように情報を取捨選択しているか、ということが最も重要なことである。それゆえ、私がそれを要約して、最も重要な部分である情報の扱い方を省いてしまうことは、決して有益なこととは言えないだろう。だが、その情報の集大成によってもたらされた理論を易簡に知ることは、その情報の扱い方の重要性を了承した上でならば有益なことと言える。

 また、古典(特に近代の)には、「現在では当たり前のこと」が、「さも前代未聞の大発見のように書かれていること」や「入念にしつこいくらいに十分に論ぜられていること」に注意しなければならない。なぜなら、それこそが、その古典の「最大の価値」であり、当時の「常識を覆す点」であるからだ。

 私が、なぜ種の起源に興味を持ち始めたかというと、経済や社会を理解するためには、人間を知る必要があり、人間を知るためには生物を知る必要があると感じたからだ。本立ちて道生ず。儒学的な考え方が、どうやら私には染みついているいるようだ。

お願いとあいさつ

 私は生物学について詳しくありません。よって、「現代では明らかになったダーウィンの間違い」などを指摘することはできません。逆に、そういったことを意識しながら読んでいただいても面白いかもしれません。私の分かる範囲で括弧( )内に示唆的なことや、補足的なことを入れておきました。参考にしていただければ幸いです。あと、原文と対照して英語で厳密にした方が後々良いと思われるところには、日本語単語の後に急に英単語が入っています。

 最後に、私の間違いや、見解のおかしいこと、また、生物学において現代では明らかに判明したことや間違っていると分かることがありましたら、是非ともご教授いただきたく思います。私の要約が、「種の起源」を読むきっかけになったり、諸兄の勉学に少しでも役にたつことを切に願っております。