言志四録を読んで1

 今、佐藤一斎の言志四録を読んでいる。

 この書物は、江戸時代末期、つまり明治維新の50年ほど前くらいに刊行されたものらしい。彼は儒学者ということらしい。また、その門下生は幕末に活躍した人ばかりとのこと。

佐藤一斎
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E8%97%A4%E4%B8%80%E6%96%8E

 まだ、全1200pのうちの100p、彼が40代頃書いた部分しか読んでいないので、書物を判断するにはいささか時期尚早かもしれないけど、とりあえず気付いたことを記しておく。

 まず、荀子の影響を少なからず受けているということだ。音楽や遊びを禁止しないことや、天論に見える語句が使用されていることからそのことが分かる。あと、易経にもかなり通達していたみたいで、陰陽的考察もあるし、易経から引いた語句、易経の思想がかなり引用されて記されている。

 次に、やはり江戸時代ということで、武術的なこと、つまり、座学だけでは学べないことや、座学だけでは体得できないことが書かれている。最近、私は座学ばかりだったので、いろいろな意味で良い刺激になっている。また、竹刀だけでも振るようにしようと思った。あと、そういった意味で、逆に理論で攻められるよりわかりやすいこともある。

 次に、処世術的なことも多い。廃れたとはいえ、武士道の血脈と史脈のある日本において、その処世術は十分通用すると思った。というか、表現方法が武士道的であるだけで、内容は世界万国共通の普遍的なものなのかもしれない。


17 面は冷ならんことを欲し、背は煖ならんことを欲し、胸は虚ならんことを欲し、腹は実ならんことを欲す。

頭は常に冷静にするようにし、背中に感情を押しとどめ熱くしておくようにし、胸は虚しくして人を受け入れるようにし、腹は肝を据えてどっしりと構えるようにする。

解説
頭を常に冷やしておくことは学の基本であり、背中に感情を押しとどめるべきことは、感情を中する礼の基本であり(易経の艮卦)、胸を虚しくすべきことは、理を全うする義の基本であり(感卦にある)、腹を実にすることは武(体)の基本である。

英訳
Make your head to be cold,
save your emotions in your back,
open your heart with empty,
fill up your abdominal with power!

英語のほうが分かりやすいこともあるが、半面、奥深さを仕込むのは難しい。