わかりやすい論語17 親しき仲にも礼儀あり

はじめに
 「親しき仲にも礼儀あり」とても有名な言葉と思います。この言葉がどのような経緯でできた言葉なのかは残念ながらわかりませんが、論語の中には、まさにこの言葉の意味を解説した言葉があります。今回は、その言葉を紹介します。ただ、「礼」とは、私にとっても、そして論語の中でもとても難しい言葉です。荀子によると、これが分かるなら、王道を全うし、四方の国が我先にと自分に追従するそうです。「礼」を知ることはそれほどにすごいことです。


有子曰く、礼の用は和を貴しと為す、先王の道、これを美と為す。小大之に由る。行われざる所あり、和を知って和すとも、礼を以てこれを節せざれば、亦行わるべからざるなり。

(学而第一より)


現代語訳
礼というものの本質は和(和気・和順・和合)を生み出すことが貴いことである。昔の立派な王たちもこれ(和)を美しいものとした。小さいことも大きいこともこれ(和)を基本とした。しかし、和が適切でない場合もある。和の美しさや大事さを知って和していても、その基本である礼を忘れてしまって、馴れ合いのようになってしまったら、その和は適切なものではなくなってしまう。


解説
 礼は、普通の人の考えだと、「格式ばった難しいもの」というイメージだと思います。しかし、論語やその他儒学の本を研究すると、それは「自然にできたもの」と解説されています。

 例えば、「お辞儀」を考えてみます。もしも、あなたが、初対面のその人に、敬意を表したい場合、自然とあなたの頭は、その人の頭より下になるはずです。自分の頭や目線を相手の頭や目線より下にすることによって「敬意」を示すのが「お辞儀」なのです。

 次に、誰かの前で立ってたたずむ場合のことを考えましょう。もしも、あなたが手を後ろに回していたら、相手の人は「こいつは手を隠して何を準備しているのだろう?」と潜在的に思うでしょう。凶暴な顔の人が、自分の前で手を後ろに回した時のことを考えてください。ちょっと身構えてしまうと思います。だから、手は、「利き手を利き手で無い方でおさえるように前で組む」のが一番相手に安心感を与えます。利き手が抑えられれば、攻撃されることはないと感じるからです。

 このように、「礼」とはもともと相手のことを考えた場合に自然にできる行動のことなのです。だから、「親しき仲にも礼儀あり」の本当の意味とは、「相手への気遣い」や「相手への敬意」を忘れないことなのです。

 論語の言葉にあるように、馴れ合いになって、相手への気遣いを忘れてしまったら、お互いに嫌な思いをしなければなりません。そして、そのような状況でものごとがうまく進むはずがありません。仲が良いからと言って全てを馴れ合いにせず、相手への気遣いを忘れないことが「礼儀」を忘れないことなのです。


おまけ 英訳
Youshi said.
"Rei" make "wa":the harmony among people.
The road of succesive emperors recognize this as beauty.
All small and big events have been based by this.
But there are some cases which this is not appropriate.
If you know "wa",but don't know "rei",the case of "wa" is not appropriate.


わかりやすい論語まとめ
http://d.hatena.ne.jp/keigossa/20120207/1328611563