易経3 屯

水雷

屯は元いに亨りて貞しきに利ろし。往くところあるに用うるなかれ。侯を建つるに利ろし。


初九 盤桓たり。貞に居るに利ろし。侯を建てるに利ろし。
六二 屯如たり、テン如たり、馬に乗りて班如たり。寇するにあらず婚講せんとす。女子貞にして字せず。十年にして即ち字す。
六三 鹿に即くに虞なく。唯だ林中に入る。君子幾を見て舎むに如かず。往けば吝なり。
六四 婚講を求めていけば、吉にして利ろしからざるなし。
九五 そのめぐみを屯らす。小貞なれば吉、大貞なれば凶なり。
上六 馬に乗りて班如たり。泣血漣如たり。


暗記結果
卦辞の「往くろころあるに用うるなかれ」が抜けていた。「侯を建つるに利ろし」が「侯を建て師(いくさ)をやるに利ろし」になっていた。初、「盤桓たり。貞に居るに利ろし」が抜けていた。二、「女子貞にして字せず」が抜けていた。「咎なし」を追加してしまっていた。三、四をすっかり忘れていた。五、「小貞なれば吉、大貞なれば凶なり」が、「小事は貞にすべからず」になっていた。
今の自分の、貞(慎み、貞正であろういう気持ち)の無さが、またしても浮き彫りになっている。ことごとく、慎重にすべきことを表す部分を忘れている。六三の「鹿に即くに虞なく、唯だ林中に入る。君子は幾(きざし)を見てやむ舎むに(やむに)如かず。往けば吝なり。」という言葉は好きで、たまに思い出して、なにかするのをやめたり、準備をしようと心を入れ替えているだけに、忘れていたのはちょっと残念だ。

解説
屯の卦は、「希望」のことだ。しかし、希望という言葉の意味は、人によってさまざまである。私にとっての希望は、この屯そのものと言ってもいい。新しいことが動き出すこと、水中にプランクトンが生じるようなその現象、それが私にとっての希望であり、屯の意味することだ。易の「婚」という表現は、単に結婚と読んでもいいけど、「陰陽の和合」と読むとわかりやすくなる場合がある。ただ、陰陽の和合と読むためには、陰と陽を知らなければならないのであって、これは難しいことである。屯全体の意味は、「事の始まり」で、まだ小さくて、大きくなっていないことを示す。「水中に雷が落ちて、プランクトン(最初の生命)が誕生した」という説は、この水雷屯の卦象と意味ともかなり一致していて、非常に興味深いことと思う。それを踏まえて考えると、爻辞の読み方も、少し具体的に分かりやすいと言えよう。事の始まりでは、いかに九五の君主が正位と正応をもっていると言えど、めぐみをとどこおらしてしまうのである。占いとして辞を読むときは、ケースバイケースで、爻辞を大きく読んだりするけど、易を哲学書として、因果律として見る場合は、この大前提、つまり、爻辞は卦辞(卦義)に支配されているということを忘れてはならない。