税金の高さに不満を言う大いなる勘違い

世の中には、累進課税制度や法人税について「税金が高い」と文句を言う人がいる。

けれど、それは単なる勘違いであると指摘したい。

そこでまず、多くの金を稼いでいる人のことについて考えてみる。

お金をたくさん稼げる人とは、たくさんの人と関わっている人で間違いないだろう。例えば、100円の商品を売って、一千万円儲けている人は、最低でも十万回は他人との関わりを持っているのである。とはいえ、同じ商品を何個も買う人もあるから、これは直ちに十万人と関わっているという推測には至るまい。そうだとしても、最低でも一万人くらいの人と関わりがあるだろう。

これで、「多くの金を稼ぐ人は必ず多くの人と関わっている」ということは立証されたと思う。

すると「特殊な職業で、この定理が当てはまらない人もいる」と主張する人がいるかもかもしれない。けど、その特殊な職業の人にお金を払う人をどんどんさかのぼって考えれば、いつかは多くの人と関わっている人が出てくるわけである。そして、こう考えたとしても、「多くの金を稼ぐ人は必ず多くの人と関わっている」ということで間違いないのだ。

さて、このことが間違いないと分かったところで、今度は税金について考えてみたい。

徴収された税金の用途は、1.政府などの国の機関の維持、2.道路などのインフラ、3.社会的弱者への保障、4.国の治安維持、である。他にも用途はあるだろうけど、この四つは誰でも認めるところと思う。この四つのことは、全部共通して「多くの人を助けるためのこと」である。

さあ、ここでさっき立証した定理「多くの金を稼ぐ人は必ず多くの人と関わっている」を思い出していただきたい。

多くの金を稼ぐ人が儲けるができるのは、「多くの人が平和に暮らしている」からなのである。

もしも、貧乏な人がみんな月にでもふっ飛ばされてしまったら、金を稼いでいた人が金を儲けることができなくなるのは当然であろう。

そこまで言わなくても、警察がしっかりしていなくて、貧乏な人の半分が泥棒になっていたら、多くの金が稼げなくなることは簡単に分かると思う。

ここまで来れば、貧乏な人の保障金が少なくなって、買い物に行く回数が減れば、金を稼げる人が減るのも分かろうというものだ。

つまり、税金を多く払わなければならないような所得の高い人は、それだけ税金の恩恵を受けているのである。それならば、たくさん税金を払うことは当然だと分かりそうなものなのに、というか、むしろ税金を多く払っているから、自分も金が稼げれると分かりそうなものなに、どうして「税金が高い」と文句を言うのだろうか。

まあ、ここは素直に、全ては自分の勘違いだったと認めて欲しい。

ここまで話を聞いても、税金が高いとか、累進課税が不公平だとかいう人は、さすがにいないと思う。というか、むしろ、この理論にどんな反論ができるのか知りたいので、反論してきて欲しい。

とはいえ、政府のやり方が悪いとか、役人の容量が悪いとか、そういった反論はもちろんなしだ。これは論点をずらす反論である。私が主張したいのは、「たくさん金を稼ぐ人は、税金の恩恵を十分に受けているのだから、高い税金を払うことに満足しなければならない」ということなのである。

ましてや、税金を少なく払って、税金を横領して、国を傾けるようなことをすれば、それはまわりまわって自分の首を締めること以外の何事でもないのだ。

なんか、地位のある、賢いはずである人ほどこんな簡単なことを分かっていないような気がする。「人を虐げることは自分を虐げることに等しい」「悪事を働いて切り抜けることは十年後の大きな厄災を自分に呼びこむことに等しい」ということをよく知っていなければならない。