安倍首相と彼らの選んだ日銀総裁は愚者である

「智者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」とはドイツの鉄血宰相ビスマルクの言葉だそうだが、これは知恵ある言葉であると思う。

 なぜなら、経験に学ぶとき、そこには既に失敗があるからである。失敗する前に気がつくのが智者であり、失敗しないと分からないのが愚者である。荀子にも、「是を是とし非を非とするを知といい、是を非として非を是とするを愚という」とある。正しいことを正しいとしてあらかじめ知ることが知であり、正しくないことを正しいと思いこむことを愚ということもできるだろう。

 ところで、アベノミクス量的緩和とは、果たして智者の政策であろうか。量的緩和とは、貨幣を増発することである。

 私の記憶によると、佐藤一斎は、シナの歴史書を読んだ感想として、言志四録でこのように述べていたと思う「唐末には、割符を乱発して、あれだけ栄えた唐が亡び、明末にも同じようなことがあった。おおよそ、何か財政面で行き詰まって、貨幣を乱発するようなとき、国家は亡びるのだ」と。さらに、私の記憶では、江戸時代末期にも、小判に銀を混ぜて貨幣を増発したということであったと思う。

「智者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」

 しかし、経験してしまった後では、既に手遅れもいいところで、学ぶ暇すらないことも世の中にはあるだろう。果たして、現在の経済学者や政治家は智者と言える人たちなのであろうか?