学問のすすめを読んでいて2

 学問のすすめも何度も読む価値があると思う。

 いろいろ思うところはある。

 まず、この孔子への非難と誹謗は何だ!けしからん!ということだ。

 というのは嘘で、当時、儒学思想がどれだけ世間を覆っていたか、ということだろう。これに関しては、私でさえ、ゆきっつぁんを論駁できるところさえある。(というか、そういったところは後で福澤自身が論駁しているのだけど)まあ、同時代に生きていても絶対に論駁しないと思うけど。むしろ、儒学批判は面白くて、読むたびに笑っている。まあ、ユーモアのある皮肉と言うやつだろう。

 もうひとつ思うのは、福沢諭吉が、当時の日本社会と、民主主義という制度をしっかりと理解していたのだなぁということである。読んでいる限り、とても的確に、当時の悪弊と、新しい思想の長所を説いているように思う。そして、現代にそれを引き当ててみると、その当時の悪弊がまだ残っていることもあれば、むしろ新しい思想に十分感化され、そのことによる悪弊も出ていると思われるところもある。このあたりはとても興味深い部分であると思う。

 そして、これらの福澤の教養をして、この「学問のすすめ」が一般大衆に向けられた、まごうことなき「啓蒙書」であると、とても感じる。そういった社会や思想への理解を背景に、福澤が民衆を目覚めさせることを目的として書いたのだなぁということがとても伝わってくる。こういった「呼びかけるための書物」は古典にはあまりないので、この文法や論法は是非とも体得したいと思う。

 あと、民主主義を理解するという意味で、またジョンロックを読まないとと思った。あと、もうひとつの最も有名な大衆啓蒙書「コモンセンス」と読み比べても面白いと思う。あと、「学問のすすめ」つまり「勧学問」で、荀子の「勧学」と読み比べる価値もあると思う。

 そんなこんなで、福沢諭吉コミュと学問のすすめコミュを探してみたら、mixi上での需要の少なさに驚くと言う結果になってしまった。この需要の少なさじゃ、今の日本の体たらくも仕方ないわ。と思った。福澤諭吉が現代を見たら、少し驚いた顔をしてまわりを見渡してから、「フン」と鼻で笑う気がする。