学問のすすめを読んで1 独立という概念

 ソークラテースの思い出を二回読み終わって、三回目に突入しようと思っていた矢先に、たまたま学問のすすめを読んだら、読みたくなったので、こちらを読むことにした。

 今、第四編まで読んだのだけど、思うに、私には「独立」という概念が不足していたように思う。

 前読んだ時(確か6年前)は、明治維新の時、どんな思想の変革が起こったのか、ということが分かった程度の理解だったけど、今読むと、他の思想とかとの比較や考え方の出典もなんとなくわかって、いろいろと面白いし、何より自分の理解度がかなり増していることが分かる。

 そんな中で、一番印象に残るというか、福澤自身そこに一番の重点を置いているのだけど、この「独立」という概念にとてもいろいろ刺激を受けるし、自分自身や社会への可能性みたいなものを感じた。

 民主主義で本来一番重要なのは、一個人の独立なのだ。この概念を加えて、ソクラテスの奴隷への考え方を再度考察する必要があるとも思う。あと、もうひとつは、民主主義と法術(韓非子荀子の思想、西洋ならアリストテレスか)との関係もこの独立という概念を用いるといろいろ歯車が合ってくるようにも思う。(今のところはどちらから見るかという問題ということになっている)

 私の本の選び方には、実はある法則がある。それは、単純なのだけど、多くの人に賛同されたと思われるもの、または、歴史の教科書に載るほど重要で有名なもの、ということが判断基準だ。この基準は、まさに本選びの王道と私は思う。しかし、今回、学問のすすめを読んでいて、この選び方の欠陥に気がついた。つまり、この本選びのやり方だと新しく樹立され、確立されたことが見落とされるということだ。そして、この学問のすすめにあるその確立されたものこそ「独立」であるのだ。ただし、この学問のすすめは、日本の最高紙幣が彼の肖像で飾られているという理由で選ばれたものである。

 読んでいて示唆に富むこともあるし、少し古い言葉で読みにくいので、自分の理解を深めるためにも、現代語訳しようかとか思った。一巡読み終わって、まだ足りないと思ったら、現代語訳か要約をするかもしれない。でも、途中で止まっているのもあるし悩ましいところだ。