最近の政治について

多くの人は勘違いしているようだけど、最近、政治が政局一辺倒になって、国民の期待が裏切られ続けているのは、決して政党やそこに属する政治家が悪いわけではない。

なぜなら、人というものは、そもそも同じ「人」であるからだ。

アフリカ人も生まれた時は日本人と同じ「人」であり、教育を受けたいと自発的に思うし、清潔な環境で健康に生きたいと思っているのだ。

しかし、生まれる場所と時間だけは、自分で決めることができない。

だから、アフリカの貧しい地域の人々は、教育を受けることもできず、伝染病に悩まされながら生きていくのだし、日本人は教育を受ける環境が整いながらも目先の遊びに呆けて、清潔を通り越して逆に潔癖となり、免疫力を低下させて感染力の低い伝染病に怯えながら生きなければならないのだ。

このように、生きる環境は、場所と時間によって似ても似つかないものとなる。だから、生まれた時は同じ「人」であっても、当然に形成されていく人格が違ってくるのだ。

そうではあるけれども、両者は同じ「人」であり、違うのは、生きていきた、そして今生きている環境だけである。

だから、現在の政治が、明らかにおかしな方向性に進んでいるのは、人が悪いから、人の集まった政党が悪いからでなくて、環境が悪いことによるのだ。

しかし、ここが難しい所で、政治というのは、その環境を改善していくために存在する言うなれば「環境の浄化機関」である。

こういったわけで、環境が悪くなって、政治に集まる人も悪い人となる環境ができてしまうと、悪い人間が悪いものを改革してさらに悪くするという悪循環ができる。

ならば、この悪い環境をさらに悪くしていく「エビルスパイラル」に一度社会が陥ってしまえば、もはや脱することはできないことになる。いかに、選挙戦略でいろいろなことを考えてみても、その選挙戦略を先回りして潰すのが悪い環境に集まった悪い人々であるからだ。

こう考えてみると、悪循環に陥った浄化機能(政治機関)とともに、日本が世界が破滅するまで待つしかないだろうか。もはやどうすることもできないのだろうか。

しかし、それはそうではない。

なぜなら、大多数の人々は、全てのことがうまくいってほしいと心から願っているからである。誰だって、全てのことがうまくいってほしいと願っているのだ。俗にいう悪い人とは、心が覆われて、視野が狭く、自分さえうまくいくことが全てうまくいくことだと勘違いしている人にすぎない。

だから、この大多数の人が「全てがうまくいく正しいやり方」を実践していけば、環境も少しずつ変わってきて、「エビルスパイラル」にも歯止めがかかるはずである。

ならば、どうすればいいのか。

そう考えてみれば、人には知性があることに思いが至る。人には知性があるから、秩序立った考え方を明らかで受け入れやすい形で提示されれば、その考え方を受け入れる。この「人」の知性の働きを最大限活かすのだ。

これを実例で言うと、「環境問題」があるだろう。

二酸化炭素で地球が温暖化すると、北極と南極の氷が溶ける。だから、高エネルギー生活を少しでも抑えて、節約しなければならない」という、秩序だった明らかで受け入れやすい「考え方」と「説得方法」、つまりこの「思想」は、人々の考え方を変え、その行動を変えてきた。

この「思想」の流布がなかったら、エネルギー浪費の「エビルスパイラル」に歯止めがかかることはなく、今頃、石油が枯渇していたかもしれないし、海抜が全世界で数十センチ上がっていたかもしれない。

ここまでくれば分かっていただけるのではないか。

今、政治に必要なのは、「強力なリーダー」でもなく、「新勢力」でもなく、「巧妙な戦略」でもなく、「新しい政治思想」であることが。

今、最も必要なのは、他ならぬ「新しい政治思想」であるのだ。

この「新しい政治思想」がないから、最大野党の民主党は「強力なリーダー」を作り損ねて万年野党の座を脱することができない状況となり、維新・みんなといった「新勢力」はできても消えていき、現在与党の自民公明は「巧妙な戦略」に走って政局のみの運営となって悪循環を促しているのだ。

今、日本いや世界に最も必要なのは、「強力なリーダー」でも「新勢力」でも「巧妙な戦略」でもなく、他ならぬ「新しい政治思想」なのだ。