推して知るべし、ネット右翼や陰謀論者

ネット上には、俗に言うところのネット右翼という人たちがいる。また、陰謀論を信じて、わけのわからない理論を立てている人もいる。

こういった人たちは、すぐに「あいつは売国奴だ」というような主張をする。

しかし、これだけなら、まあ、それなりに正常な、感情と知性を持っていると言うこともできるだろう。

なぜなら、確かに、政治家その他、社会的地位のある人や組織には、明らかに公明性を欠いたことをしている人がいるからである。その行動が、日本国にあるべき利益を他の利益に還元してしまうのなら、確かに彼らは、「日本国を売って別の利益を得ている」のだから、売国奴ということになろう。

ここまでは、事実であり、辻褄の合うことであり、私も容認して、ある程度は共感できることである。なぜなら、自分の家族を売る者がいたら、誰だって怒って暴言を吐きたくなるのだから。
暴言を使うのは善いこととは思えないが、その心情と知性はまだ理解の範囲内である。

しかし、「あいつは売国奴で○○国の手先である」というのは、あまりにもおかしな理論である。

というのも、○○国の手先ということは、彼は○○国に忠誠を誓っているからである。
彼が忠誠を誓っているのは、そもそも○○国なのであり、日本国ではない。だから、正確に言えば、彼は売国奴ではなくて「立派な国士」なのである。○○国を愛して忠誠を誓うが故に、そのために、日本国に害を及ぼしているのである。

これをまた家族のことで当てはめてみれば、家族の健全な生活を守るために、やむを得ず、自分の家族に敵対する別の家族のところに出向いているようなものである。
この家族はそもそも自分の家族を害するのだから、仕方なく、内部からこの家族に害を加えて、自分の家族に利益を誘導するのである。しかも、犯罪まがいのことをして、自分の身を危険にさらしているのだから、彼は自分の身を顧みていないのである。しかしこれも、己の家族を思えばゆえのやむを得ないことなのである。

こうして考えてみれば、「○○国の手先」は、ある程度以上は立派な人間であることが予想されるわけである。だから、彼は、「○○国の国士」なのであって、決して売国奴ではない。

では、一体どういった人間が売国奴なのであろうか。

答えは簡単である。

「自分個人の利益のためなら、何かれ構わず、どんな手をも使う人間」である。

だから、本当の売国奴とは、あるときは日本国の味方であり、あるときは○○国の味方ともなり、自分の利益のためなら、どんな国の手下とも、どんな組織の手下とも成り下がる人間のことなのである。

こうして「本当の売国奴とは自分の利益しか考えてない人間だ」と考えてみれば、いろいろなことの真実が見えてくるのではないか。

そもそも、ナショナリズム愛国心は、利用されているに過ぎないのだ。

本当の売国奴とは、あるときはこちらの味方をし、あるときはあちらの味方をし、表ではこちらの味方をし、裏ではあちらの味方をし、結局は自分のことしか考えてない人間のことである。
彼らには、組織への忠誠も、ましてやその組織への帰属意識すらもない。
ただその組織を利用しているだけである。

売国奴は、○○国のために何かするのでなく、常に自分個人の利益のために何かするのである」

こうして考えてみれば、「愛国心を標榜している売国奴」や「○○国を日本国のためにこき下ろしている売国奴」が、たくさんいることが分かるのではないか。

真の愛国心とは事実を見極めることである。決して、敵国を決めつけて攻撃することではない。分かりやすい敵国ばかりに理論をこじつけていては、日本国の利益を守ることなどできない。