カルトか宗教か を読んで
- 作者: 竹下節子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/11
- メディア: 新書
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少し古い本ではあるが、いい本だったと思う。
結局、私が思うところによると、カルトとそうでないものの違いは、「普遍性」であると思う。
確かに、カルトは爆発的に流行する時がある。けれど、千年とかの長い時間をかけて見てみれば、廃れるか、いつまでたっても一般に受け容れられることがない。または、教祖やリーダーの死とともに「あれは何だったんだろう」となっていく。
これは現実効果によってカルトを見分ける考え方だけど、概念的に見分ける方法として、カルトは「その組織内部でしか通用しない理論を用いる」ということで、これはかなり端的なカルトの見分け方と思う。
そうして、どんな組織が「カルト」なのだろう?と考えを巡らしてみると、驚愕の事実に気がつくことになる。
例えば、ある会社では、「書類は全て鉛筆書き」が強要されていた。なぜそうなのうか、という理論も、「この会社ではこうゆう決まりなのだ」ということで、みんな納得してしまっていたが、私は絶対におかしいと思っていた。笑(笑い事じゃないが
とまあ、こういった具合に、「会社」と言われる組織は、実はほとんどカルト集団なのである。さらに言えば、ブッラク企業と言われる会社ほど、社長を神のように崇めたり、組織のために健康や精神を害することがあったり、組織の目標もある一部の人の利益のための仮面であったりと、よりカルト集団に近いことも分かる。
この本の著者は生粋の研究者のようで、このことには気が付かなかったのか、本の主旨がそうなのかは分からないが、このとには一切触れていなかった。あるいは、会社はそういうものだという「割り切り」でものごとを見ているのかもしれない。いずれにせよ、会社という組織が「カルト集団」であることは間違いないのだ。
あと、カルトとは、フランスでは「セクト」、つまり「一部」とか「隔離された部分」と呼ばれているそうで、その言葉で間違いなぁと思ったのだった。
この本で出てきたカルト集団の具体名としては、サイエントロジー、ニューエイジ、エホバ、モルモン教、オウム真理教などであった。あと、カルトと結びつきやすい、オカルト、神秘主義、スピリチュアル、終末思想などのことについても詳しく書かれて峻別されており、いろいろと役に立ちそうな感じがした。
あと、フランスがこういったことに関してかなり水準の高いことも分かる。その要因として、「哲学」が義務教育に組み込まれているこは間違いのないことだろう。前も、哲学者の死が世界的ニュースになるほどになっていたし、これは日本ではあり得ないことである。