㈱貧困大国アメリカ

「全部信じない」という条件付きで読める人にとってはいい本である。

というのも、見抜ける人とそうでない人がいるとは思うが、ところどろ洗脳しようとしているとしか思えないところや、エヴァンゲリオンの「暴走モード」よろしく、「妄想モード」に突入していると思われるところがあるからだ。

本の内容としては、アメリカのフードスタンプ制度について詳しく説明するような本かと思いきや、大企業が政府と組んで一般人を搾取しようとしていることが手を変え品を変え訴えられている。主に食品の問題について多く書かれていた。タイトルの㈱は、その原因が株式会社にあることを暗喩しているみたいだ。

また、本当かどうかは知らないが、アメリカには、公でない公共機関、つまり、私人の富豪が株主みたいになって自治を行うようなところがあるらしい。これは知らなかったから、本当ならいろんな意味で興味深い。

次に、この社名が出ると、陰謀くささと胡散臭さが出るのだが、モン○ント社などが、主に攻撃の対象となっている。イラク戦争も、アメリカの食品業界の後押しがあったという説は少し納得できた。というのも、そもそもイラクバビロニアがあった国であり、バビロニアとは、ヘロドトスの「歴史」で300倍の収穫量があるとして讃えられたほどの小麦の原産国である。こういった歴史経緯からも、イラクに小麦の品種がたくさんあることは事実として間違いないと思うけど、このイラクの多品種小麦を「競争相手」に選んだアメリカの多国籍企業が、イラク戦争でこの競争相手を潰したかったと言うのだ。イラクやイランは石油埋蔵量が既に底を尽きかけていることが知られているので、どうして、アメリカがあれほど介入していたのか、イマイチ納得できなかったのだけど、こういった事情もあるなら納得できることと思ったのだ。

こういった本当っぽい情報もあるのだけど、中には眉唾の情報がうまく「反権力」的に書かれている部分がある。しかもそれが、食品のことだけあって、自分の健康と直結しているのだから、心配になってこの洗脳にも引っかかりやすくなってしまう。だから、書評の冒頭に、上から目線なことを書いたのだが、とにかく、少し気を付けて読めばいい本だと思う。


旧約聖書箴言より

◎悪者のことに心を燃やしてはならない。
◎暴いてはならない。
◎愚者は災いを通りすぎようとするが智者は家に居て災いを避ける。

新約聖書より

◎あなたは裁いてはならない。あなたの目の中には梁ほどの大きなものがあるのに、あなたは人の目の埃を取ろうとする。