教育力 を読んで

教育力 (岩波新書)

教育力 (岩波新書)

とても良い本であった。

教育者のみならず、誰が読んでも役に立つのではないか。教育者なら尚更であるし、今後講演や講義をやる予定のある人も一読しておくといいと思う。さらに言うなら、実際に教壇に立ってみて、うまくいかないとき、この本を読むと、解決策がかなり見いだせるだろう。

基本的な話の方向としては、教育者には「あこがれをもたせる力」が必要なのだという。つまり、教育者自身が、なんらかの研究をしていたりいろいろなことに関心を持っていないとならない。そういった深みを持っていないと、生徒もそれを見習いたいとも思わないし、教える本人が面白いと思ってないことなど、教えられる方も面白いなどと思えない。だから、そうゆう心持ち、向学心を義務と感じない人は、先生をやる資格などないとスッパリ言い切る。

一つ印象に残っている話は、「二つの時間」という感覚を持たなければならないというところだった。どういうことかというと、先生は生徒を導いていくわけだから、自分は常に生徒たちの少し前にいないとならない。かと言って、前だけ見ていては生徒たちの現在の反応を見失ってしまう。だから、少し前を見据えながら、現在をコントロールするという「二つの時間」を意識して授業に臨まないとならないのだ。

試験の採点を生徒にやらせるといいとか、深呼吸をさせるといいとか、シールや賞状でゲーム化するといいとか、細かい工夫もかなりたくさん書いてあるので、そうゆうことに携わっている人は、是非読んで取り入れて頂きたい。