No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい為替の本を読んで
- 作者: 上野泰也
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2009/12/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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わかりやすかったとは思う。
為替の値動きについて、こっちが上がるとそっちが下がるみたいな、少し為替のことを知っている人にとっては教えてもらうまでもない、基本的な一般例がいくつも出ていた。
しかし、それを改めて説明されることで、「為替は必ず抑止方向に動く」ということがよくわかった。つまり、輸出が伸びれば円が高くなり、円が高くなると、輸出先としては高い物を買わないとならなくなる。すると、輸出品自体は為替効果によって減る方向に動くことになる。だから、行き過ぎた輸出構造は、為替効果によって抑止されることになる。これは全ての輸出入、果ては金融にも当てはまることで、「為替の抑止力」という経済の一般原理とでも言えると思う。
知らなかったこととしては、為替は基本的に市場取引でなくて相対取引(あいたいとりひき)ということだった。相対取引なのに、どうやって相場が決まるのかみたいなことには深く触れていなかったが、それはまた別の本で勉強してみよう。
これと関連して、為替の取引をしているのは、主に銀行なのだそうだ。そして、こういった「投機筋」が、全ての為替取引の八割の額を占めているとのことで、これも知らないことであった。しかし、銀行という巨額の民間資金を預かる機関が為替を動かしているのなら、私の中で納得がいかなかったいろいろなことに合理的な説明がつく。
恐らく為替投機に興味にある一般的な人をターゲットにした本だと思うが、その目的は達成されているだろう。