株とは何か 市場・投資・企業を読み解く を読んで

株とは何か 市場・投資・企業を読み解く (講談社選書メチエ)

株とは何か 市場・投資・企業を読み解く (講談社選書メチエ)

良い本であったと思う。

特に私がいいなぁと思ったのは、株の歴史についてしっかりと書かれていた点だ。あと、株の基本的な知識に加えて、最低でも財務3表の意味が分かってないと読めない。そういった意味で、ある程度興味を持ち続けている人しか読みこなせない本とは思う。

読んでいて思ったのは、株と企業と金融市場の関係が「おかしい」ということだ。まず、企業を所有しているのは本当に株主なのか、金融市場で株価が上がることは法人それ自体とどういった関係があるのか、株に変動値を付けることは本当はおかしいのではないか、などの、現在の株に関する根本的なことである。またおいおい詳しく考えてみたい。

あと、私は絶対に株などやらないが、株をやろうと思っている人は、最低でもこの本をしっかり理解していないとならない。そうしないと、大手銀行に手数料を取られて、挙句の果てには多くの投資ファンドになけなしの銭を吸い上げられてしまうだろう。

最近、NISAとかいう制度が取り入れられることになったが、私が金融の本を読む限りだと、それは単なる「庶民から金をぼったくるための制度」としか思えない。つまり、投資家の中でゼロサムゲーム(全員の取り分を全て足すと合計がゼロになるゲーム・勝つ人と負ける人が必ず居るゲーム)をしていれば、例えば、プロゴルファーが世界選手権で、プロ同志の賭けゴルフをするようなもので、相手も強いからなかなか勝てない。

これに対して、NISAは、「掛け金は少ないから、ぼくと勝負してみませんか、勝ったら十倍返しですよ」と、プロゴルファーがゴルフ愛好会に申し入れるようなものなのだ。ゴルフ愛好会に、この言葉に乗ってくる人が多く居れば多く居るほど、この賭けゴルファーは大きく勝てる。なぜなら、毎日の練習と圧倒的な研究量で、愛好会の人たちを一網打尽にすることもできるからである。挙句の果てには、最初は同好会の人に勝たせて勘違いさせるという高度なテクニックも駆使してくるかもしれない。

とにかく、悪いことは言わないから、素人は株をやってはならない。