番外編 尽く用兵の害を知らざる者は、則ち尽く用兵の利をも知ること能わざるなり

パソコンが治った。

というか、結果から言うと、

そもそも、マウスしか壊れていなかった…


最後の記事を書いて、その後、NTTが怪しいと思って、NTTに電話したら、いろいろな試験をやることとなった。

そのときにやったのは、

1.BNR速度測定http://www.musen-lan.com/speed/
これは、ネットで「速度測定」と検索すると出てくる非常に便利なサイトである。
このサイトで空白の部分の後にある「測定開始」を押すと、bps(データ通信量の単位)を測定することができる。

5Mbpsが動画をストレスなく見るための一つの目安だそうだ。この測定で、私の壊れたと思われていたパソコンのデータ通信量は、1Mbpsであった。これはADSLとほぼ同値のデータ通信量で、現在の手の込んだサイト広告を読み込むには、非常に難がある速度と思われる。

2.ping試験
これは、ウィンドウズのスタートを押し、黒いアイコンのプロンプトというのを選択する。すると、パソコンがバグったときに出てきそうな真っ黒に白の文字という小窓が出てくる。ここで、点滅しているところにipconfigと入力しエンターキーを押して、自分のパソコンがどうやってネット接続されているか調べるところから始まる。

これを行ってから、そこに出てくる「192.000.000.000」といったような数字を確認する。そうして次に、「ping 192.000.000.000」と言った具合に入力して、エンターで実行する。ここに出てくる文字列で、「送信=4、受信=4、損失=0」というような表記があるので、ここを確認するのが、このpingの主旨である。コードが切れかかっていたりすると、損失が0以外の数字になるらしい。
(これは概略で数字をどうしたらいいかは、私は詳しく分からないです。やってみようという方は別サイトも調べてみてください。)

この2つの試験は、ネットがつながりにくいときにやってみることの定石のようだ。

それで、私のパソコンの場合(無線接続)は、速度が1Mbps(遅い:異常あり)で、ping試験は損失=0(欠損なし:異常なし)ということだった。ここまでやると、壊れている可能性としては、NTTのモデム故障、サーバーの不具合、無線機器の不具合、パソコンの故障のどれかであるとのことだった。そして、NTT以外のコールセンターにも電話で問い合わせて欲しいとのことだった。

実は、無線親機は2台あって、そのどちらでも同じようにうまくいかないから、無線親機の故障はあり得ないと思っていた。しかも、あるときから突然に、どちらの無線親機でもうまく接続できなくなったのである。この状況下では、無線親機の故障は考えにくい。

また、パソコンの故障については、かなり徹底的にやった。(リカバリ、デルの故障診断システム)

すると、残るはサーバーの異常が考えられる。そういったわけでサーバー(うちの場合はビッグローブ)に電話してみた。今、上に書いた試験の結果を伝えると、「NTTのモデムですね、あ〜無線機の可能性もありますけど」とのことだった。

「なんじゃ、やっぱりNTTか」

そう思うと、すぐにNTTに電話しなおした。それで、次の日の朝に、モデム(CTU)の交換をしてもらうこととなった。NTT曰く「壊れていないかもしれないが、どっちみち古くなっているので、予防的な意味でも取り替えます」とのことだった。

次の日、NTTの人が来て、その機器を交換してくれた。

しかし、結果は、「またダメだった」

だが、これで、問題は、NTTよりも端末に近い部分に完全に絞られたわけである。

NTTの工事の人曰く、「妨害電波」の可能性が最も高いとのことであった。妨害電波といっても、別に私が狙われて妨害されるわけでなくて、近所の人がなんかやりだすと、こういった妨害電波が出ることがあるらしい。

だから、無線機の電波受信状態を良くすれば、ネットの調子は良くなるはずなのである。最初に試したのは、「親機中継器化計画」である。つまり、無線を飛ばす機械がふたつあるのだから、一つをその調子の悪いパソコンに近づけようとしたのである。これは何度か試したが、一つがもう5年以上も無線機であることによって、うまくいかなかった。

そこで、良い方法を思いついた。とりあえず調査して、無線電波の強さと位置関係をはっきりさせてから、機器を動かすことを考えた方がいいと思ったのだ。タブレット型パソコンで、速度測定サイトを表示して、少しずつ動きながら調査を行った。その結果、現在パソコンのある部屋から、わずか3mだけ無線親機に近づいたところで、うまくつながりそうな場所を発見したのだ。

また、今回のパソコンの状況からして「つながったり、離れたする」のだから、妨害も数十秒〜数分単位で周期的に起こっている可能性が高く、そういった意味も含めて、同じ場所でも何回にも分けて測定を行った。また、この調査では、その測定値の最低値を有効なものとすることにした。事実として、良い時は50Mbps出るところでも、悪い時には5Mbpsしか出ないという状況だった。

そういったわけで、最低でも5Mbpsが出る3m離れた別室にパソコンを置くか、親機をこちら側に少し動かすか、といったような案が考えられたけど、もっといい案を思いついた。つまり、無線の受信機はUSBで接続されているから、USBを延長して、受信機だけをその位置までもっていけばいいのではないか?ということである。

それで、3mのUSB延長コードの値段を調べると、700円前後、「ダメ元でもできる。」
そう思うと、すぐに電気屋に向かい、USB延長コードを手に入れた。

そして、接続してみると…

今度こそうまくいった。

結局、今回壊れていたのは、マウスのクリックの部分だけであった。ただ不幸なことに、それと同時にちょうど近所の人が強い無線機を置くとかをしたため、妨害電波が出てしまっていたのである。この2つが重なったことにより、かなり壊れた感が演出されていたのだ。

しかし、今回の一件で、「ネットやパソコンを仕事で使うのならば、うまくいかなくなったとき備えて相当な用意をしておく必要がある」ということを痛烈に感じた。まずは、パソコンが壊れた時のために、パソコンを最低でも2台用意して、さらに、常にどちらかが有線で接続できる環境にしておかなければならない。データもクラウド型に頼っていると、ネットの不通とともに何もできなくなるから、クラウド型(サーバー保存型)はあくまで脇役にして、CDなどの壊れないメディアを併用する。(外付けHDDも壊れる可能性がある)

逆に言えば、ここに書いたようなことがパソコンの弱点なのである。つまり、電気がなければ使えない、ネットが無ければ使えない、壊れるときは壊れるし、治すのには時間がかかる。「尽く用兵の害を知らざる者は、則ち尽く用兵の利をも知ること能わざるなり」とは孫子の一節であるけど、メリットとデメリットを知らなければ、モノをうまく利用することはできない、ということであろう。


まとめ
http://d.hatena.ne.jp/keigossa/20131218/1387376324