優良企業とは一体なんぞや

と思われる事件が起きた。

ハローワークで職業相談をしたら、担当の人が、話の流れで、S市周辺の「優良企業ガイドブック(新卒者向け)」みたいなものを持ちだして来たのが話の発端である。

そのパンフレットは、厚さにして五ミリくらい、全ページがカラーの豪華版である。紙も分厚くて、ペラペラの廉価版ではない。

その担当の人は、「んー、この会社も」などと言いながら掲載企業一覧を見ると、それを私に手渡したのであった。

あとで家に帰ってみて、何で渡したのかわかった。

そこには、私の勤めていた会社も掲載されていたからである。

面接にも行かない私への当て付けであろう。つまり、あなたが嫌だと言ってやめた会社は、世間では「優良企業」で通るのですよ?あなたは贅沢言っているだけでないの?ということであろう。

だが、逆に、これを見たことによって、さらに就職する気が無くなった。

というのも、その勤めていた会社の実体を、私はもちろんよく知っている。確かに「ある一部の人」は儲かっていたのかもしれない。しかし、勤続10年くらいの人が10人に1人居るか居ないかで、さらにこの上、その人の勤務態度が悪かったとは決して思わないのだけど、年々給料を減らされるとぼやいていたのを聞いたことがある。さらに、タイムカードを廃止して、「鉛筆書き」で勤務時間を記すように指導される。

言いたいことはもっといっぱいあるが、もっと恐ろしいこの極めつけ事実だけ記しておこう。「あほやなぁ」としか思えない。

というのも、明らかにそこには40人くらいしか勤務している人が居なかったのだが、従業員数が80人ということになっていたのである。しかも、ご丁寧に、写真の片隅ではあったが、何の惜しげも無く「優良企業」と自分で銘打っているのである。完全に呆れている私がそう思うのは当たり前であるが、この事実を聞けば、第三者の人でも、頭がおかしいとしか思えないであろう。

まあ、こういったことも、一例だけなら例外ということもあろう。しかし、事態はもっと深刻であるのだ。

S市は生まれ育ったところであるから、このパンフレットに掲載されている他の会社に友人なども勤めている。そして、当然に話を聞いたりするわけである。

その中の1つ目、私がある同級生と同席していた時、書類を書かなければならなくなり、そこには鉛筆しかなかったので、私がボールペンを探すと、その同級生がおかしなことを言う。
「鉛筆やないとまずいんやないの?」
「エッ?」
書類をボールペンで書かなければならないことは社会の常識であったと思う。しかし、私もタイムカード鉛筆書き指導のことを知っていたから、すぐにピーンと来たのである。つまり、この同級生の勤めている会社では、全ての書類を改ざんできるように、鉛筆書きしていたのである。
そこに勤めた人は、上司の
「あかん、書類は鉛筆で書くもんや」
という怒声とともに、間違った常識によって洗脳されてしまうのだ。
そして、この会社も優良企業として、パンフレットに掲載されていた。謳い文句は、確か、「確立された高技術力」だったと思う。まあ、改ざんの技術力すごくても…という感じである。

今度は2つ目、これは噂話の領域を過ぎないのではあるのだけど、そこの会社は、新鋭の二代目が社長に就任したばかりの会社であることは事実である。聞くところによると、この新鋭の二代目は、気が強いらしく、自分が働き出す20年も前から勤めている人、言い方を変えれば、この二代目は、この人のおかげで大人になれたような人に対して
「お前は、絶対やめさせんでな」
と大声で叫んだらしい。
そして、この会社もそのパンフレットに掲載されていた。

優良企業とは一体なんぞや?

誰か、「優良企業」の基準を教えてくれないだろうか?

もしも、宣伝費を多めに払うだけで「優良企業」になれるのなら、宣伝業は儲かるだろうな。もちろん、怨みは少なからず買うことになるし、後で何らかのしっぺ返しを喰らうことになるとは思うが…

ちなみに、S市の図書館では、法律コーナーから、「労働法関連」と「行政法関連」の書籍が消えている。「労働法関連」は「社会問題」の「労働コーナー」にあることが分かったが、「労働問題コーナー」は字だけ大きく書かれていて、書籍は少なく、特に法律関係の本は書棚の一番下に配置されている。「行政法関連」は未だ行方不明のままである。インターネットで検索すると、もっとたくさんの蔵書があるはずなんだけども。

いずれにせよ、これらの事実が一体何を意味するのかは不明である(笑)