ブラック企業のア○社長は単なるバ○

人を見下す言葉であるアホとバカの語源をご存じでしょうか?

アホもバカも、中国の秦の始皇帝と関係があります。

始皇帝は、秦が中華統一を果たすと、自分の威厳を世に知らしめたいと思いました。そして、戦争で疲れきっていて、もう休みたいばっかりの農民たちを駆り出しました。この嫌がる農民を武力と権力で脅して、阿房(あぼう)という地名のところに大きな宮殿を建て始めました。

この大きな宮殿は、正式な名前は決定していなかったのですが、その地名から「阿房宮(あぼうきゅう)」と呼ばれました。けれど、この阿房宮はとても大きな宮殿でしたから、この宮殿が完成する前に、秦の始皇帝は死んでしまいました。

秦の始皇帝は、不老不死にあこがれていて、とても死ぬのが怖かったそうです。人間として見れば、単なる気の触れた独裁者でしたから、友だちも信頼できる家族もいませんでした。だから、今で言う心霊商法に引っかかってしまい、かなり怪しげな薬もだいぶ口にしていたらしいです。

秦の始皇帝が死ぬとき、やっと彼は流石に不老不死は無理だったということに気が付きました。そして、遺言書を趙高という宦官(去勢した男性)に渡しました。もちろん、始皇帝は、趙高を信用していたから遺言書を渡したのです。

しかし、趙高はすかさず裏切って、始皇帝が遺言で指名した長男でなく、末っ子を勝手に次の皇帝にしてしまいました。こうして、二代目皇帝は、趙高に頭があがらなくなってしまいました。

趙高は簡単に人を裏切る人間です。こんな人間が政治を取り仕切れば、全てうまくいくはずがありません。たださえも、「阿房宮(あぼうきゅう)」などの建設で、国の人は、秦を怨んでいたのです。

そして、この折に、趙高の「馬と鹿の事件」が起きたのです。

趙高は、自分に頭のあがらないはずの二世皇帝が、急に威張りだしたことに腹を立て始めました。それで、趙高は、自分の思うようになる人間を厳選したいと思い始めました。

こうして、趙高は、みんなの前で、この二世皇帝に「これは珍しい馬です」と言って、鹿を献上したのです。二世皇帝は「それは鹿ではないか」と言いました。しかし、趙高は「いいえ、これは馬です」と言って、そこにいるみんな一人ずつに「これは馬なのか鹿なのか」と尋ね始めました。このとき「それは鹿です」と答えた正直な人や、本当の主である二世皇帝に義理立てした人は、全員殺されることとなってしまいました。

こうして「馬鹿(うましか)の事件」で、趙高にとって都合のいい人だけが朝廷に残ると、趙高は、この二世皇帝を殺してしまいました。しかし、こんなことをして、多くの人が黙っているはずがありません。一年も経たないうちに、趙高は、殺されることとなりました。もちろん、家族はおろか親戚にいたるまでの一族もろとも、殺されることとなってしまったのです。

でも、話はまだ終わりません。こんな風に政治の中枢が混乱しているのですから、秦の都は反乱軍に囲まれてしまいました。反乱軍は秦に怨みを持っていたのです。反乱軍は、秦の都に着くなり、すぐに「阿房宮(あぼうきゅう)」を燃やしてしまいました。もちろん、秦の始皇帝の一族も、皆殺しになりました。

みなさんはどう思われるでしょうか。

ブラック企業の社長は、秦の始皇帝といろいろそっくりですよね。従業員をこき使ったり、分不相応な贅沢をしたり、そのわりには誰にでもうわべだけで友だちがいなかったり、あやしげなセミナーとか行っていたりと。

また、その社長の下で威張り散らしている人は、趙高にそっくりですよね。社長が「阿房」であることをいいことに、従業員にいつも「馬鹿」を押し付けています。趙高みたいな人がいないときは、社長自身が「馬鹿」を押し付けてきます。

でも、こういった人達が結局どうなってしまうのかは、もう歴史で証明されています。ブラック企業のアホ社長は、だから単なるバカなのです。

名実ともにアホで、名実ともにバカなのに、それでも、自分は偉くて賢いと思っているのです。

もう、腹が立つのを通り越して、同じ人間として、可哀想になりますよね。