憲法について3

第三章 国民の権利及び義務

考察1

第十五条の第二項には、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とある。

今読んでいる本「今知りたい 東京新聞政治部編 日本国憲法」によると、

以下要約抜粋
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この第二項は公務員が特定の政党に肩入れして政治活動を行うことなどを制約する根拠になるものです。国会議員も公務員であることを考えると、この項には少し矛盾があり、現実離れしているようにも見え、その点で誤解を招きやすい条文とも言えます。
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とある。

つまり、この本によると、政党とは、全体の奉仕者ではなく、一部のための奉仕者であると言っているのだ。

とんだ邪説で驚いてしまった。

私は、この項を素直に、政治家も含めた公務員は全て全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないと解釈するべきだと思う。

この部分の英語は、
All public officials are servants the whole community and not of any group thereof.

となっている。ところで、政党は、partyであってgroupではない。つまり、政党とは本来、日本国を善くするという同じ目的を持ちながら、その方法の違いから生まれてきた一時的なpartyであって、利益や既得権益を生むために徒党を組むgroupではないはずである。

それで、他の公務員(役人)が政治活動をできないのは、行政の中立性を保つためであって、彼らが政治活動をして政党に肩入れすることによって、全体の奉仕者となる妨げになるからではない。つまり、三権分立の延長として、行政という立場での立法からの独立の延長として、彼ら役人は政治活動ができないはずなのである。

ところで、それより何より深刻なことは、この邪説の方が現在では当たり前になっていて、ほとんど多くの人が、政党とは利益団体の延長線上にあるものだと思っていることである。事実としてそうかもしれないが、全体の奉仕者である公務員たる政治家に対して、われわれはこれを決して許してはならないのである。