67.荀子 現代語訳 王政第九 七・八章

七章

 王者の人。

 普段の行いは礼と義によって適度に飾られ、人の話を聞いて判断する時には人間としての共感を重んじて細かい規則にも則り、明らかであること細い毛を持ち上げるかのようであり、行動と対応は常に変化に応じて行き詰るようなことはない。こういったことを原本が有るという。これが王者の人である。

八章

 王者の制度。

 その重んじて通る道は、夏・殷・周の三代に過ぎることなく、法はこの後王に違うことがない。通る道が三代よりも前にさかのぼったりそれを過ぎるのならば、このことを蕩と言って放縦なのであり、法がこの後王と違うのならばこれを不雅と言って粗野で野蛮なのである。

 衣服にも決まりがあり、部屋数にも度があり、使う人にも数があり、冠婚葬祭の儀式には決まった器物が有るのである。

 音楽は上品さがないものは全て廃止して、色や模様は伝統的でないものは全て採用せず、器物に関しても伝統的でないのなら全て壊してしまう。こういったことを復古と言う。これが王者の制度である。


まとめ
http://d.hatena.ne.jp/keigossa/20130104/1357283885


解説及び感想

■「聴判するに類を以てし」は「人の話を聞いて判断する時には人間としての共感を重んじて細かい規則にも則り」と訳した。岩波文庫では、「類」を「大きな規則の周辺の類、規則に則っているが細かいこと」というように訳している。しかし、これはアダムスミスの道徳感情論にも明らかな通りに、人類の同感作用のことであろうと思う。人間が最も人間らしい所以、人間が人間と類(同じ種類の生き物)である所以は、その同感作用にある。

■八章に関しては、少し過激とも取れるけれど、伝統を重んじることは大事だと思う。伝統というものは、どんどんと時代に応じて変わっていくけれど、これを変わっていいものとするならば、それは一瞬にして伝統でなくなってしまう。こいったことであるから、荀子はこのような過激な言い方をしている。