35.荀子 現代語訳 非相第五 二章

二章

 人には三不祥(三つのよくないこと)というものがある。年が若いのに年配の人の言うことを聞こうとしないこと。社会的立場が低いのに社会的立場がある人の言うことを聞こうとしないこと。大して賢いわけでもないのに賢い人の言うことを聞こうとしないこと。これが人の三不祥である。

 人には三必窮(自分を必ず追いつめるような三つのこと)というものがある。

 上に立てば下の人を愛することができず、下に居れば好んで上の人のことを否定するならば、これは人の一必窮である。

 そちらを向いているときはその人に同ずるということはなく、そちらから目を背けるとその人を侮るということであるならば、これは人の二必窮である。

 智行ともに浅薄で曲直について同時に考えることができず、その上に仁人を推挙することもできずに知士の意見を容れることもできないのならば、これは人の三必窮である。

 こういった行いがあって、上に立つのならば必ず危うい状況に陥り、下に居るのなら必ず滅ぶ。(●人の此の数行有る者は、上と為らば則ち必ず危うく、下と為らば則ち必ず滅ぶ)

 詩経 小雅・角弓篇に「雪積り 日が出て温に 雪は消ゆ 不遜驕りて あに消えまじ」とあるのはこのことを言ったのである。


まとめ
http://d.hatena.ne.jp/keigossa/20130104/1357283885


解説及び感想

■薄々感づいている方もいらっしゃるかもしれないが、私の悪い有様の描写が生々しいのは、実物のモデルが居るからである。その本人の名誉のために詳しくは述べないが、その人のことを思い浮かべると、書き下し文の表現では意味がわからないところがあっても、こういうことだろう。というイメージが浮かんでくる。小人とはいつの世も変わらないのである。

■三必窮で、一必窮・二必窮・三必窮と表現されているのは、結果として起こる患害の大きさを表現するためであろう。一に比べて二が、二に比べて三が、どう考えても、受ける所の害が大きい。