中国 二つの脅威

 私は、中国には二つの脅威があると思う。

 一つ目の脅威は、これは多く報道されているし、皆気が付いている脅威、そう、その全体主義帝国主義中華思想である。この脅威に関しては、多くの意見があるから、私はそれに同調しているということだけを述べるに止めたいと思う。


 そして、私が本当の脅威だと思っている脅威は、これから明らかにする、二つ目の脅威である。その脅威は、中国とその隣国という限られた国家と関係している脅威ではない。地球全体、さらに正確に言えば、資本主義に寄り掛かって社会を形成している人間全体に及ぶ脅威である。

 中国は、世界第二位と言われる経済大国となった。これは周知のことである。しかし、その内面は、とても先進国と言える文化形態や常識を備えておらず、この資本主義経済を支えているはずの自由主義、または民主主義すらも備えていない。これが何を意味するのか。

 こういったことを想定していただきたい、例えば、本来なら燃えないはずの土を、灯油やらなんやら、そういったものをかけて、無理やり燃やした場合、そこには何が残るかということだ。そこに残るものは、焼け果てて、植物も生えない焦土であり、そればかりでなく、この密閉された空間には、そういった油類を燃やした時に出る一酸化炭素、不燃焼物、その他のどうしようもなく有害なガスがたまるわけである。焦土がそこに残ることは当たり前のこととして、この密閉されていた有害ガスが限られた空間に放出された時に何が起こるのか。

 つまり、有害ガスとは、世界経済に及ぼす影響のことであり、密閉された空間とは中国が作りだした不自然な国家経済、限られた空間とはこの資本主義社会そのものである。しかも、現在は、グローバル化という風がとても早く流れているから、この有害ガスがこの限られた空間を汚染するのは瞬く間のことであろう。

 もしも、この密閉された空間を維持している壁が、少し衝撃を加えただけで壊れてしまうような場合、どうせざるを得ないのか。腫れものに触るようにしか対応できないのではないか。この中国経済の溜めた膿みは恐ろしく大きい、そしてさらに、それよりも懸念すべきは、そのまわりの環境もこの膿から出た血の悪影響をとても受けやすいと言うことなのである。

 ここに述べた中国の二つ目の脅威を、一つ目の脅威が利用していることさえある。とても滑稽なことかもしれないが、「おれが死んだら、お前らも他人事ではないぞ」ということである。

 この二つの脅威に同時に対処することはとても難しいであろう。時期を誤ってもならないし、準備を怠ってもならない。かと言って腫れものなのだから、簡単に触ることもできない。

 私の予想では、たとえ自民党政権ができても、世界からの圧力で、中国を強く刺激することはできないと思う。