国債制度が破たんしてしまった場合の想定(妄想)2

報道がないことで日本では多くの人が知らなかったことだが、アメリカの国債が破たんしドルが紙切れとなり、次いで、ユーロ、ポンドも全て紙切れとなっていたのだ。そんな中、中国元は、破たんしていない“ということ”だった。

しかし、実は、中国国内は完全なる内乱状態に陥っていた。一部軍部が暴走し、兵器を用いて自分の野心を満たそうとする集団が現れ出していたのだ。

一方、誇り高きアメリカ軍に、暴力で人を制圧しようと言うものは無かった。内乱を起こそうと言う者もときどき現れていたのだが、そういった人間はすぐにその組織から追い出されていたのだ。アメリカはやはり、生粋の民主主義独立国家であったのだ。

だが、もうひとつの軍事大国ロシアは、もちろんそのような考えを持ち合わせている国家ではなかった。潤沢な石油資源を背景としたシドベーシェフ総裁(架空の人物)の独裁体制が強化されつつある段階にあったに過ぎなかった。もとい彼も、プーチン体制をそのまま引き継いだだけだったのだが。

話を戻し、日本から見えたその大きな光とは、中国国内での核の使用だったのだ。ここに、世界は動き始めた。ロシア軍が中国国内に進行し始めたのだ。そして、中国を全て鎮圧したロシアは、EU連合と対峙することとなった。だが、石油資源の枯渇しているEU連合とロシアとでは、長期戦という観点から勝敗は全て見えていた。数十年来、圧倒的資本と武力を背景に、搾取を続けていた欧米列国に中東の国は一切の助力を加えなかったのである。ただ、石油と食品とがほとんど物々交換されるような状況で、中東の石油は動いていた。

しかし、予想に反して、ロシアとEU連合の対峙は長く続かなかった。ロシア帝国は、あっさりと核を用いたのである。それは間接的な核であったのだが。

ロシア帝国EU連合の軍事的物量差はほぼ互角であった。しかし、豊富な農業資源と地下資源、人的資源を獲得したロシアが、インドや中東への侵略を着々と進めていることに対して焦るEU連合の思惑と、潤沢な資源があるとは言えそれに限りがあることを了承していたロシアとの思惑とが一致し、この戦いは、文明史上最初で最後のお互いの軍事兵器を削り合う一極集中戦となったのだ。

そんな状況下で、ロシア帝国の新型大陸間ミサイル“ハラショー・ズドラーストブイチェ”がフランスの核施設に向けられることは当然であった。

EU連合もここの重要性は踏まえていた。なぜなら、全ての通信手段及び軍事兵器生産のエネルギー源は、このフランス原発の電力に依存していたからである。全ての防衛のための作戦は、このフランス原発防衛が基本であった。だが、ロシア帝国は、経済危機前から独自に、そして極秘に開発していた、この“ハラショー・ズドラーストブイチェ”を用いたのである。この高性能ミサイルは、レーダーなどに探知されることなく、標的を的確に射抜くことのできる兵器だった。EU連合は、まさに虚を突かれる形でエネルギー源を失い、ロシア帝国に降伏せざるを得なくなった。

間もなく、ロシアはユーラシア大陸全域を支配下に治め、空前絶後の軍事大帝国、ロシア大帝国となったのであった。

つづく…