言志四録を読んで5

 もう一週間ほど前に読み終わっていた。総じて言うと、言志録以外は、また、年老いた時に読みたいと思った。こういった箴言集は、自分に都合の悪い言葉に目をとめるようにして、その言葉を暗記するようにするのが善かろうと思う。自分に都合の悪い言葉とは、忠言であり、耳に逆らうの言葉のことである。

 あと、言志テツ録(著者が85歳くらいに書いたもの)は、かなりレベルが高かった。

これだけ抜粋しよう

今、言志テツ録を手にとってたまたま開けたらこのページが開かれた。

言志テツ録156

世に惜しむべきものあり。亀玉大宝の、瓦礫に混ずるは惜しむべし。希世の名剣の、賤人のこれを佩ぶるは惜しむべし。非常の人材のすてて用いられざるはもっとも惜しむべし。

世の中には、惜しいこと(もったいないこと)がある。宝物ががれきの中に埋もれてしまって、その美しさを参観されないことは惜しいことである。世の中でもまれな名剣が、それを正しく運用することのできない人の手元にあることは惜しいことである。非常の人材が(然るべき地位や立場で)用いられないでいることは、何よりも惜しむべきことである。

実に惜しむべきことだ……


同157

罪無くしてとがを得る者は、非常の人なり。身は一時に屈して、名は後世に伸ぶ。罪有りてとがを免るる者は、肝佞の人なり。志を一時に得て、名は後世に辱められる。いにしえに謂う、「天定まりて人に勝つ」と。是なり。

罪が無いのに、とがめを受ける人は、非常の人である。身は、ひととき屈することになるが、その名は後世まで残る。罪があるのに、とがめを受けない人は、ずるがしこくて口だけの人である。その思いが、ひとときは達せられるのであるが、その名は悪名として後世まで辱められる。昔の言葉で「天のことわりは定まっていて、そのことわりに人が勝つということはない」というのはこのことを言ったことである。

そうでも思わないとやってられないだろう……事実ではあることは信じて疑わないが。