消費税可決について

 私の意見としては、現在の経済体制とそれに基づいた国家体制を維持する上では、消費税の増税は已むを得ないと思っているので、そのことに対しては別に意見は無い。

 私個人で、かなりざっくりだけど、消費税増税でどのくらい税収が増えるのか試算して見た。というか、今してみるのだけど

 GDPが500兆円で、恐らく、GDPは3年後には減っているだろうから、450兆円、このうちの2割〜3割は、固定資本減耗だから、450*0.75=340兆円が実質的なGDPになる。ここはかなり適当だけど、5割が動くお金として、340/2=170 170*0.05=8.5兆円ということになる。まあ、そんなこんなで、消費税だけで税収が、7〜12兆円増える試算になった。だが、しかし、現在の歳入44兆円に対して、歳出75兆円……、どう振り幅をうまく計算しても、歳入が歳出を越えないというのが、私の試算結果だ。つまり、消費税増税だけでは、抜本的、根本的解決ではないという結論が導き出された。(この試算は、今、私の記憶とか、適当な推測とかで計算したものなので、信じないでください、逆に合っていたら拍手喝さいでお願いします。)

 シュムペーターが租税国家の危機(私はこれを持っているのだけど読んでいない)という著書で、国家は租税と国債に頼っていると、絶対に崩壊するというようなことを言っているらしい。

 いずれにせよ、これは前から私が主張しているように、時間稼ぎの一手でしかない。ほかの名案がないから、仕方なくこうしているだけなのだ。

 それで、この消費税が妥当がどうか、ということはさておいて、消費税増税「反対か賛成か」ということに、実質的な世論がどれだけ反応しているか、ということの方が重要だろう。

 原発の再稼働の問題について、先日、メディアが一斉に隠したとされるデモは記憶に新しい。これと比較すると、一目瞭然で、世論が分かるのではないか。国民の一部か多くかはわからないけど、原発の問題については感情的になる人も、消費税の問題については感情的になっていないのである。

 これが何を意味するか。つまり、日本国民の関心事は、根本的にお金のことではないのである。これは、日本国民の多くが、生活にそんなに経済的な不自由を感じていないという何よりの証だろう。というか、誤解を招かないように言葉を変えると、消費税が5%程度増えたところで生命の危険を感じていないわけである。むしろ、贅沢を一つ減らすという、つつましやかで美しい美徳を一つ増やすことを歓迎しているのである。

 海外のニュースを見ていると、いかに日本が、経済的に、政治的に安定しているかよくわかる。というのも、先進国でない国では、総理が変わるだけでも、刃傷沙汰が一件は起こっている、デモ隊と警察が衝突したり、多くの人が広場に集まって、新しい政権を歓迎したりしているのだ。このように、とにかく、政治に対する熱烈さが違うのである。これは、政治と生命がどれだけ直結しているかということを示す最高の指標と言えよう。

 そしてまた、小沢っぺ(彼は私の中で格下げされてしまった)が、いかにKYなことをしているかということが、この論点からでも十分立証されたことになる。

 だが、しかし、日本国民も、その他多くの先進国の国民も、現在の経済体制を疑っていないことだけには警鐘を鳴らしておきたい。今の経済体制は、いつ瓦解してもおかしくない。そして、それが訪れた時、何の準備もできていない可能性もある。もし、その状況が起きたら大変なことになるということだけは忘れないでほしい。