言志四録を読んで3

 今日、第一巻、つまり、著者が50才くらいまでの間に書いたとされる言志録をほぼ読み終わった。

 ここまでの感想は、とりあえず、その内容も玉石混合ということが言えると思う。つまり、第一級の古典は、そのすべてが玉言ばかりであるのだけど、そうでない部分もあると感じたということだ。

 孟子は、かなり前に読んで、内容をほとんど忘れてしまっているので、なんとも言えないのだけど、恐らく、孟子の影響を受けているであろうことが言える。次に荀子だ。これは荀卿子という言葉があることからもわかることである。ただ、性善説には異常なまでにこだわっていて、荀子性悪説(まだ読んでいないのだけど)は、伝わっていなかったのだろうかとさえ思われる。

 あと、この本の特色として、易義について触れている部分がかなり多いことが特色と言えるかもしれない。そういったことを表立って書いている書物は初めて見たと言っても過言ではない。荀子の場合だと、明らかに易の思想と思われても、それはあくまで隠喩に止まって書かれている。易義は神妙に過ぎて人心を惑わす部分があるので、荀子はそういった扱いをしていたのだろうとは思う。

 また、西郷隆盛が、この書を随分愛読していたらしく、この中から抄して、金科玉条として101項目を自分の戒めにしていたそうな。西郷隆盛の選んだものを確認しながら読むと、西郷隆盛がどんな人物で、どんなことを重要視していたのかが見えてきて興味深い。今のところだと、やはり、人とは一体どんなものなのか、また、人を動かすにはどうしたら良いのかということに心を砕いていたように思われる。あと、学問的なことより実践的なことの方が多い。


121 士は独立自信を貴ぶ。熱に依り炎に附くの念起こすべからず

志を持った人は、独立自信(自分の力のみを信じること)であることを貴いこととする。熱(権力者の影響)に近付き、炎(富貴や勢いのあること)に仲間入りしようという(こび・へつらいの)心を起こしてはならない。

Man who has will must respect self-independence-confidence.
He shuold not think of approaching for hot power or joining in outside fire.