荀子を読んでいて4

 荀子は本当にすごい。また、今日、荀子を読んでいて鳥肌が立ってしまった。

 王道の政治、政治の本来目指すべき姿がそこにはあると思う。韓非子を読んでから荀子を読むとさらにそう思うのだとも思う。

 荀子の感嘆すべきところは、まったく理路整然としているところ、次に、超現実的であるところである。説いてあることは理想であり、「それが実行され得ることがあるのか」と、まゆつばする人も多かろう。だが、それを払拭してあまりあるだけの、数、つまり、理論による計算があるのである。その到達点に立つことは難しいであろうが、その到達点に至るまでの過程は明示されているのである。まあ、その根本は、常に、礼と義であるのだけど。

 論語にある、孔子が「北極星がその場所を動かないでいて、他の星がそれについてくようなものだ」とか言う場面や、「その意味を知っているならば、世の中はここの中にあるようなものだ」と言って自分の掌を指差す場面、これらも、荀子の理論を引き当てれば、何の疑問も無く了解できる言葉だ。

 今、政治についてのことが終わり、これからまた、徳や森羅万象など、哲学的な所に入りかけている。ここに配されている天論という部分がまた興味深い。易経とか、現在で言う「オカルト分野」を、しっかり理論や科学として受け入れている姿勢が見て取れるし、その見解は決して間違っていない。そして何より、それが理路整然と、すごい説得力を以てして説かれているのだ。

 続きが楽しみである。

 それにしても、なぜ荀子四書五経に加えられていないのか。あまりにも素晴らしすぎるため禁書みたいなものになっていたのか。確かに、暴虐・凡庸の主、上位者にとって、これほど厄介な書物はないと思う。この理論を熟知して攻められたら、よほど恥知らずな、人と言えるかどうかも疑わしい者でしか、それをまともにかわすことはできないだろうとも思う。あと、難しいということもあるかもしれない。四書五経にある程度通達しなければ、荀子を理解することはできないとも思われる。