ヨーロッパ人のローマ史観について

 今、アダムスミスの道徳感情論を読んでいると、ローマ史からの例えが多いことに驚く。もちろん、われわれ日本人からすると、全くもってマニアックとしか言えないことばかりである。

 歴史を研究する上で、ローマ史というのはとても重要と思う。ヨーロッパの歴史を勉強していると、ローマ史まで遡らないとわからないことや、ローマ帝国の影響を受けているとしか思われない制度、習慣が出てくる。それと、もうひとつ、ヨーロッパの歴史で外せないのは、言わずもがなキリスト教である。

 ローマ帝国は、どうもヨーロッパ人全ての歴史的憧れであり、伝説であり、永遠の繁栄であり、忘れることのできないロマンのようだ。私は、個人的な歴史学見地から、ローマ史の重要性に気付いて、モンテスキューの「ローマ人盛衰原因論」という本を購入してみた。まだほとんど読んでいないけど、モンテスキューが理論的に明晰な人物であったことはすぐに分かった。全くのイメージだけど、その「モンテスキュー」という名前の語感から、繊細で理想家というイメージをしていたので、ちょっと驚きだった。

 だが、ローマ史はヨーロッパ人にとって、例えば、日本人が戦国時代を見るような、または、三国志の歴史ロマンを見るような、そういったまなざしが含まれるものであろうということが判明してきた。こういった、「憧れへの追従」という意味でも、ヨーロッパの歴史にとってローマ史は重要なのだろうと思う。