韓国・アメリカFTAに関連して、日本のTPP参加を検討する

 今日、韓国がアメリカとのFTA交渉を成立させたとニュースでやっていた。これに関連して、日本のTPP参加について、その妥当性を検討したいと思う。


 松下幸之助「新国土創成論」の中で触れらていたのだけど、食糧自給率が100%を越える国は、数えるばかりしかないという。しっかりデータを集めていないのだけど、その数えるばかりの国の一つがアメリカであり、オーストラリアだそうだ。


 これが何を意味するか、よく考えたい。人間とは、食糧がなければ活動できない。食糧こそが人間の活動の源であり、もしこれが無くなったら、どうすることもできないのである。この最も大事なものを外国に依存するということの危険性をもっと意識深く、肝を取られるくらいの覚悟で承知しなければならないのではないか。


 もしもである。アメリカと外交摩擦が起きて、アメリカが、食糧にバカ高い関税をかけてやると脅してきたとしよう。このときどんな対応が予想されるのか?言いなりになるしかないのではないか。

 これを卑近な例えにしてみる。佐藤さんは、鈴木さんの家から全ての食糧を買っていた。「食糧はありふれていて、他の家からでも食糧は買えるのだぞ」と金銭的に裕福な佐藤さんは大威張りで値切るは値切る、挙句の果てには鈴木さんを馬鹿にする始末だった。鈴木さんはほとほと嫌気がさしていた。そんな折である。大地震で全ての連絡路は寸断され、食糧はほとんどない。ここ数十年復旧する見通しもない。佐藤さんは依然として金銭的に裕福だけど、食糧を生産する術も土地もなかったとする。こうなったら一気に形勢逆転、鈴木さんは裕福な佐藤さんより逆に優位になるのではないか。


 つまり、私は食糧と言う抵当の重要性を言いたいのである。金銭では測ることなどできないのだ。核爆弾の次に強力な外交兵器と言っても過言ではないだろう。なぜならそれが、生命に直結しているからである。もちろん最終兵器にも等しいものなので、これを握っている側はこの外交カードを簡単には出さないだろう。しかし、握られている側は心の奥底で、食糧依存に対しての恐怖心というようなものを感じて、外交で強気に出れないことは言うまでもない。


 とにかく、アメリカCIAの鬼謀をなめてはならない。と言いたいのである。

 もしも、日本がTPPに参加するならば、この問題、つまり、いざとなったら自国でも食糧を自給自足できる体制を完全に整える必要があると思うのだ。それなしで、TPPに参加し、日に日に骨を抜かれ、歯を抜かれ、手足をもがれるように農業が衰退させられることは何としてでも避けなければならない。自給自足をできる確約がないならば、如何に経済的に富むことができたとしても、一切日本の国際的地位を高めない。むしろ、数十年後、日本民族は飢餓でほろびているかもしれない。滅びるまでなくても間違いなく衰退しているだろう。安易にTPPに参加することは、目先の経済的利益を追求して、100年後の日本民族の衰退を招くようなことであるということを、とにかく念頭に置くべきである。


 この重要性、この危機管理意識において、松下幸之助は非常に優れている。なぜなら、国土創成論発想の基本は、この食糧自給にあるからだ。だから、実現性があるとか、天の機運さえあれば実行されると言うのだ。その危機の重要性を知れば知るほど、そういったことへの対策をしっかりと実現的なものとしてするべきだ、という表裏一体の考え方が著作から明白に読みとれるのだ。