抽象画理論 〜図形や色の持つ意味〜

 色や図形に意味を見出すことはできる。


 この宇宙にはある意味で、絶対的な法則がある。それをいちいち述べるとキリがないのだが、一番簡単なものの例を述べると「万有引力の法則」だ。全てのものは、お互いの質量に比例した引力を持つという法則だ。万有引力の法則は、我々の生活や我々自身をある意味では拘束しているのだけど、あまりにも恒常的に我々を縛り付けているため、我々はそのことになかなか気付かない。万有引力自体、地球が誕生する、否、人類が誕生するはるか以前から存在しているのに、それが存在していると人間が気付いたのは、わずか300年程前のことなのである。そのように、我々は、法則に拘束されていることにすら気付かず、それらの法則に縛り付けらていることにすら気付かず生きているに過ぎない。この万有引力の法則と同じように、図形や色が我々人間を拘束している法則というものがある。この法則を利用して描いた絵のことをけいご流抽象画(一般的な抽象画と少し意味が違うのでそう名付けた)と言う。


 まず、色についてだけど、色というのは波長である。波長だから、比較で長い短いがある。人間の目で見える一番短い波長の光は、「紫外線(の一歩手前)」、一番長い波長の光は「赤外線(の一歩手前)」、ということになる。そしてすべての波長を均等に含むのが「白色」、全ての波長が均等にないのが「黒色」ということになる。つまり、光は波長で、それぞれ長さがあり、それの長さは法則として我々をいろいろと束縛しているのだ。ここに着眼して色を使うと、人の「無意識」にわりと簡単に訴えかけることができる。例えば黄色は、真ん中の波長の色であって、中庸、ちょうどよいところを表すような意味合いがある。赤は、一番長いから、外とか遅いといった具合だ。だから極端に言うと、植物が緑であることにも、太陽が赤くなることにも、海の美しい色は青色であることにも実は意味があるということになる。このように、波長の長さを元にして「色の意味」をはじき出すことはできなくもない。ただ、組み合わせによって起こる変化があるので、そこまで理解しようとするととんでもない膨大な計算式と理論を導き出す必要がある。しかし、もともと我々の持っている「感性」をなるべく素までもっていくことができれば、計算式や理論は必要なくなる。


 図形で言うと、三角というのは、ものが最初に安定する図形なので、理論や安定と言った意味合いをもつ。だから、三角を組み合わせた図形は理路整然としたような印象を与えやすい。他にも私の解き明かした図形の意味はないことはないのだけど、その理論を説明して分かる人自体あまりいないだろうし、とんでもなく長くなるし、感性を使えばそれなりに誰でも分かるし、そもそもそこまで書きたいと言う気になれないのでこれくらいにしておく。