易経6 訟

天水訟


訟は孚ありて塞がる。おそれて中すれば吉、終われば凶なり。大人を見るに利ろし。大川を渉るに利ろしからず。
初六 事とするところを永くせざれば、小しく言あるも終わりには吉なり。
九二 訟に克たず。帰りてのがる。その邑人三百戸なら眚なし。
六三 旧徳に食む。貞なれば窅うけれども終わりには吉なり。或いは王事に従うも成すことなかれ。
九四 訟に克たず。復りて命に即き、喩えて貞に安んずれば吉なり。
九五 公訟、元吉なり。
上九 或いはこれにはんたいを賜うも終朝に三度これを奪わる。


暗記結果
前半をほとんど忘れていた。訟の前半を忘れているということは、まさにいつもの通り、慎みに欠けているということに他ならない。
解説
訟とは、争いごとのことである。争いとは意見の食い違いのことである。意見の食い違いがあるとき、圧倒時有利なのは、力の強い方である。しかし、力と一言で言ってもいろいろある。権力・財力・威力・暴力・運力、そして真力。争い事は力の強いほうが克つ。弱い方が負ける。当たり前のことだ。自分の方が弱いと分かったら、すぐに、その争いごとから引き上げること、これを賢者の道と言う。しかし、力のスカラー量は、係数によって決まる。例えば、財力10権力10の敵に対して、こちらが財力1権力1であったとしても、真力が、敵0、こちら10で、さらに時勢があればその争いごとに克つことができる。易経を勉強するなら、敵を知り己を知りて、これに時勢を加えてその勝敗を知る。となりたいものである。あと、勝ちと言っても、そのとき勝っても、10年後では負けている時もあるし、そのとき負けても、10年後勝っているときもある。勝敗を機運を決するためには、真の勝ちを見越し、それを念頭に置く必要もあろう。