論語と算盤を読んで1

前、名古屋に行ったとき、論語と算盤(角川ソフィア文庫)が目に付いたので、購入してきた。

今読んでいるのだけど、相当面白い。というか、この「論語と算盤」は私が以前から読みたいと思っていたタイトルの一つで、遂に手に取ったという感じ。渋沢栄一の経済道徳合一論とは何か。ということは前から気になっていた。

論語の精神を商売に生かすとか、論語や道徳の精神が結局商売につながるとか、そういったもんだと思っていたけど、そんな生半可なものではなかった。

まさに経済道徳「合一」論であったのだ。

大蔵省を退職した渋沢が、その退官を咎める同僚を説得する際に、論語を多く引き合いに出したらしい。そして、その言葉の責任をとるという意味でも、論語で商売をやり通してやると、そう心に決めたということだった。

読んでいて思ったのは、やっぱり学問のすすめの影響はある程度受けているな、ということだ。しかし、渋沢が退官したのは、明治六年であり、学問のすすめ出版前である。だから、渋沢は、学問のすすめを読んだことは間違いなかろうが、それを読む前から、民間経済勃興の必要性を感じていたと推測される。

読んでいて思ったのは、「論語」は同じような人間を製造するんだな。ということだった。私も、末席ながら論語読みであるのだけど、渋沢の見解とほとんど同じか、と思うところがしばしばある。もちろん、私は渋沢ほどの人間では無かろうが、なんか奥底に流れている考え方が、同感を越えて「合一」とさえ思われるところもある。

この角川ソフィア文庫版が現代語訳のものか、原文なのかは分からないのだけど、ほとんど現代語と変わらないと思う。学問のすすめと比べると、その差は雲泥ほど違う。明治年間に相当言葉づかいも変わったのだろうか。

あと、私の読んでいる論語の解説者は、宇野哲人先生なのだけど、渋沢も、「宇野先生に付いて、子供と論語を習った」と述べている。先生が同じなのも、「合一」の理由なのかもしれない。と思った。

新品でも700円と安価なので、興味を持たれた方はぜひ読んでいただきたい。
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