進化を読む - 猫にもエイズが流行っているらしい

 猫にもエイズが流行っているらしい。うちの猫が、それにかかっている可能性もあるみたいということで、獣医さんが言っていたらしい。

 詳しく調べてはいないのだけど、エイズウイルスは、かなり昔からあったのではないかと思う。ただ、それは発見されていなかったし、あともうひとつは、局所的なもので、問題になるようなもでなかったのだと思う。

 ご存じのように、エイズウイルスはとても感染しにくい。血液か精液を媒介としてしか感染しない。つまり、直接の接触がなければ感染しないのだ。そして、直接の接触は、当たり前だけど、その生き物の自然移動範囲内にしか起こり得ない。猫だとすると、アフリカ大陸でいかにエイズウイルスが流行ろうが、アメリカ大陸でそれが流行ることはあり得ない。そうでなくても、もしも、江戸時代のようのな状況を思い浮かべてもらうと、例えば、大きな川の右岸と左岸でさえも、その汚染地帯とそうでない地帯とに分断されるだろう。さらにその上、エイズウイルスの感染には、性交か直接のケンカという頻繁には起こらない直接の接触が必要なのだ。

 これらの「感染しにくさ」を考えると、エイズウイルスが流行り出した根本的な原因は、「エイズウイルスが新種で驚異的なもの」であると考えるより、むしろ、他の原因がエイズウイルスを流行らせている。と考えた方が自然である。

 そして、その理由こそがグローバル化なのだ。グローバル化とは、世界の縮小化のことである。そして、世界の縮小化とは、生物同士の交流速度の増加のことなのである。ここで、移動速度と言わず、交流速度としたのには理由がある。移動が速いだけではエイズウイルスは流行らない。移動速度が速くなったことより、それによって、本来距離的に遠いところにいた生物同士の交流回数、接触回数の機会が増えたことの方が重要であるのだ。例えば、エイズウイルスを持った個体が、アフリカ大陸から、アメリカ大陸に行くよりも、アフリカ大陸から、アメリカ大陸及び、オーストラリア大陸及び、日本列島に行った場合の方が、はるかにエイズウイルスが流行る可能性が高い。

 このように、人類が交通の便を良くし、さらにその上、その交通を使って距離的に遠いはずであったものをかなり近くしたことが、エイズウイルスの流行り出した一番の原因と思う。

 そう考えると、エイズウイルスは、今後どんどんと流行り出すであろうと予測される。交通の速さ自体はそうは速くならないであろうが、インターネットによって、知的交流速度がかなりの速さで上がっているからだ。知的交流は、物的交流の機会を格段に速める。例えば、ヤフーオークションも世界単位でもっと活発に行われるであろうし、インターネットを通じて、知りあいになったもの同志が実際に会ってみようという機会を増やすであろうからだ。

 そう考えると、やはりエイズウイルスの蔓延は、さらに必然的なものとして、私たちの未来をおびやかすのである。

 しかし、人類も、その他の種族も、これくらいのことでは滅亡に至らないだろう。むしろ、このエイズウイルスの蔓延がさらなる進化を促すとさえ思う。それは、生物学的な、ある意味の新種、突然変異を生み出していくであろうという意味だ。だが、人類においては、別の進化をも促すものと思う。それは、つまり徳的成長である。エイズウイルスから自分を守るためには、まず、不特定多数との性交を控えることが必須となる。そして、直接の暴力は用いないということも、もちろん防衛策になるだろう。そして、それらは、忍耐、我慢という徳を少なからず育てるだろう。